感染者ゼロ「八丈島」の島民たちが抱える葛藤 観光業などを営む住民の本音を聞く(前編)

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長期化する中で大変な影響を受けているにもかかわらず、一連の事態を冷静に捉える様子がうかがえたが、コロナ禍が続くこの半年あまりの間、島の人々の生活面はどう変わったのだろうか。

岩﨑:サージカルマスクはしばらく品切れの状態が続きましたが、手作りの布マスクを販売する方がいて助かりました。トイレットペーパーなどが不足した時期もありましたが、食料品やガソリンも含めて日常生活の不自由はあまり感じませんでした。家にひきこもることもなく、散歩や買い物も以前とあまり変わりませんでした。マスク着用やアルコール消毒は必須となりましたが。ただ、飲食店が休業を余儀なくされたので、外食や飲み会の機会はなくなりました。

歌川:うちのホテルは4~6月は完全休業に追い込まれました。7月になって再開しましたが、都内の感染者が再び100人を超え始めたとたん予約キャンセルが出てきました。

ホテルでも感染対策を徹底する(写真:歌川さん提供)

企業の社員の方や都の職員の方の出張も取りやめになってしまった。7月の売り上げは前年の7割減、客数は6割減ですね。8月の売り上げは4割減ぐらいかなと見ていますが、今後の状況次第ですね。

飛行機の減便が島の観光業を打撃

岩﨑:今、島にとって本当に痛いのは航空の減便ですね。羽田―八丈島間は1日3便体制だったのが、1日1便になっています。しかも早朝の第1便のみ。島に来てくださる観光客にとって羽田発7時30分の便はなんとも不便。地方からのお客さんだと都内で前泊しなくちゃいけませんからね。

他の観光地と違って、八丈の観光は航空と船便がワンセットで成り立っています。そのうえ生活路線でもある。減便が続くと打撃は大きいですよね。石川・小松空港や名古屋(小牧)空港からのチャーター便もあったのが、今はゼロです。

コロナ禍で来島客が激減し、観光関連産業は軒並み休業や営業縮小を強いられた。そうした中で、島内である変化が起きていた。感染への恐怖心から来島者を拒むかのような動きが出てきたというのだ。

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