感染者ゼロ「八丈島」の島民たちが抱える葛藤 観光業などを営む住民の本音を聞く(前編)

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ある島民が、家族とリュックにカメラという格好で森を歩いていて、すれ違った島の婦人たちに挨拶をしたところ、観光客と思われたのか、無視されてしまった。レンタカーが止まっていると、それを問題視する人もいたという。同じ島にいながら、コロナに対する受け止め方に温度差があることを実感したそうだ。

島内の仕事で完結している人もいる

八丈島の島民は、島の中で仕事を完結させている人も多い。

歌川:島で外と交流を持っている人は意外と少ない。農業など島内の仕事だけで(ライフスタイルが)完結している人も多い。そうなるとコロナの受け止め方に差が出てきますよね。

来島者への受け止め方は、八丈島だけの問題ではなく、全国各地の観光地、別荘地などでも見られた現象であるが、小さな島だけに人々の心に残る影響は無視できないものがある。

そうした中、徐々にではあるが希望の動き、変化の予兆も見られ始めるようになった。旅行会社から「現地ツアーができない代わりにオンラインでの体験ツアーの製作を手伝ってほしい」といった依頼が飛び込んできた。そんな島に起きている新たな動きなどを後編でレポートする。(つづく)

山田 稔 ジャーナリスト

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やまだ みのる / Minoru Yamada

1960年生まれ。長野県出身。立命館大学卒業。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。経済、社会、地方関連記事を執筆。雑誌『ベストカー』に「数字の向こう側」を連載中。『酒と温泉を楽しむ!「B級」山歩き』『分煙社会のススメ。』(日本図書館協会選定図書)『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』などの著作がある。編集工房レーヴのブログも執筆。最新刊は『60歳からの山と温泉』(世界書院)。

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