「城下町」がこんなにも奥深いと知っていますか 蘊蓄100章で綴る長い歴史と広がり

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21. かつての防衛重視の城砦は必ずしも交通の便がよいとはいえず、陣屋などに行政を移すケースもあった

22. 江戸時代には約300の城下町があったが、現在人口10万人以上の都市の約半数は城下町を起源としている

23. しかし大火や戦災、その後の都市開発などで姿が変わり、往時を偲ぶことのできる城下町は激減している

24. かつて江戸と呼ばれた「東京都(特別区部)」も江戸城下であり、「大阪市」も大坂城下である

25. 秀吉が治めた期間は20年足らずだが、大坂夏の陣を経て大坂城は江戸幕府直轄となり城下町が栄えた

26. 「道頓堀」は江戸初期に開発に尽力した家康の孫・松平忠明が開発者・安井道頓の名から命名したとされる

27. 安土城の落城から3年後の1585年に豊臣秀次により八幡山城が築かれた滋賀の「近江八幡市」

28. 城下町に残る八幡堀は近江八幡と琵琶湖を結ぶ人工水路でそこに浮かぶ屋形船と白壁土蔵の景色も美しい

29. 京都は平安京など古都のイメージが強いが、秀吉が伏見城を築き商業が栄えた「伏見」など城下町も残る

30. 伏見は大阪や近江と陸路や水路でつながる要衝で、現在もファンの多い伏見の日本酒も発展した

現存する城は全国で12城

31. 江戸以前からの天守が現存する城は全国で12城と少ないが、その1つである姫路城の城下町が「姫路市」

32. 周辺には武家屋敷の遺構を活かして建てられた日本庭園の好古園や西の比叡山と称される円教寺等がある

33. 前田家の加賀百万石の城下町として栄えた「金沢市」には戦災を免れた長町武家屋敷等がいまも残る

34. 日本三大名園に挙げられる兼六園もあり、加賀藩御用達の和菓子、金箔や加賀友禅といった伝統工芸も伝わる

現在の名古屋城は信長の元居城に家康が建造(写真:Masa/PIXTA)

35. 三英傑と呼ばれる信長・秀吉・家康のゆかり「名古屋市」現在の名古屋城は信長の元居城に家康が建造した

36. 築城当時、城下町としての発展を図るために尾張の清洲から人や寺社ごと引越しさせたといわれている

37. 三重の「松阪市」は秀吉の家臣だった蒲生氏郷が築城した松阪城の城下町いまも豪壮な石垣が残っている

38. 江戸時代には三井家、長谷川家、小津家等の商人が活躍する一大商業地として発展した

39. 信州の城下町「松本市」の顔ともいえるのが印象的な漆黒の天守で〈烏(からす)城〉とも呼ばれる松本城

40. 城の脇を走る善光寺街道は、当時から江戸や京阪からの参拝客でにぎわい、多くの商家が軒を連ねた

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