就活「3年で新卒の3割離職」が解消されない背景 学生の理解だけでなくキャリア教育にも原因

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1. 業界別の離職率の傾向

前述の「新規学卒就職者の離職状況」には業種別の新卒3年内離職率も公表されている。それによると、次の3つの業界が離職率の上位を占めた(全業界の平均は31.8%)。

1位:宿泊業、飲食サービス業(49.7%)
2位:教育、学習支援業(46.2%)
3位:生活関連サービス業、娯楽業(45.0%)

「生活関連サービス」には「理容・美容業」「旅行業」「冠婚葬祭業(ウェディング)」などが含まれる。これら離職率トップ3の業界の共通点を考えてみると、以下の特徴が見えてくる。

【業界別の新卒3年内離職率の特徴】
・BtoC(消費者向け)のビジネスモデルが多い業界である
・キャリアアップの範囲が狭い業界である(スタッフ→店長→本社勤務)
・業務内容がイメージしやすい業界である(学生時代にアルバイトで経験できる、もしくはユーザーとして利用)
・学生目線で「やりたいこと」に直結しやすい業界である(旅行、ウェディング等)
・平均年収が低い業界である

2. 職種別の離職率の傾向

業種別の新卒3年内離職率は厚生労働省をはじめ、いくつかの調査結果があるが、「職種別」の調査結果はあまりない。筆者の所属するUZUZでは、第二新卒者(一度就職して3年以内に離職した人)向けのアンケート調査を行っている。そこで職種についても聞いているので、そのデータから、第二新卒となる職種の傾向を見た。

第二新卒の前職は営業職とサービス職が半数

1位:営業職(29.5%)
2位:サービス(接客・介護・保育・美容など)(19.3%)
3位:技術・専門職(エンジニア・研究開発)(13.9%)

結果として営業職の離職率が突出しており、実に3人に1人は「営業職」という結果となっている。次に多い「サービス(接客・介護・保育・美容など)」まで含めると2人に1人がこの2つの職種のいずれかに該当している。

【職種別の新卒3年内離職率の特徴】
・営業職は個人ノルマが設定される傾向が強く、そのプレッシャーからの離職が多いと考えられる
・サービス職は、離職率が高い業界に所属している職種が中心のため、離職率が高い傾向にある(接客・介護・保育・美容など)
・技術・専門職も専門的な知識や技術の習得が求められるため、その負荷から離職率が多くなる傾向があると考えられる
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