では、なぜ新入社員は入社して3年で3割が辞めてしまうのか? その理由を「業界」「職種」「企業規模」ごとの離職率という切り口で検証してみようと思う。
まず「離職率」がどのような値なのかを説明したい。日々、20代の就活を支援しているのだが、離職率を会社選びの条件にしている割には、この離職率という数値の定義を理解していない人が多いように感じる。
離職率とは、「一定期間における、ある時点での従業員に占める離職した従業員の割合」だ。「一定期間」というのは、一般的に「3年間」もしくは「1年間」で算出している。
離職率は分母が「従業員全体」か「新卒」かで異なる
従業員全体の離職率は、次の式で算出される。
(離職率)=(期間内の離職者数)/(期間の初めの従業員数)×100
例えば、次のような条件下での3年以内離職率は6%となる。
算出時点:2019年3月31日
2016年4月1日時点の社員数:500人
2016年4月1日から2019年3月31日までの離職者数:30人
離職率:30÷500×100=6%
厚生労働省の離職率データの場合、「新卒入社の社員に限った」3年以内離職率(新卒3年内離職率)を算出している。計算式は次のようになる。
(◯◯年入社の離職率)=(◯◯年入社の離職者数)÷(◯◯年入社の新入社員数)×100
例えば、次のような条件下での新入社員の離職率であれば、15%となる。
算出時点:2019年3月31日
2016年入社の新入社員:100人
2019年3月31日までの離職者数:15人
離職率:15÷100×100=15%
このように同じ「離職率」でも、表している数値の意味合いが異なる。新卒採用での「離職率」は、後者の新卒3年内離職率を指すことが一般的だが、全社の離職率を公表したり、その算出方法も統一されていなかったりする。また、離職率を開示していない企業が多く、一概に比較することが難しいのが現状だ。
離職率を卒業年度ごとに見るだけでなく、ちょっと違った切り口で見てみると、新卒3年内離職率の違った一面が浮かび上がってくる。
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