女子ゴルフ協会「放映権問題」は何で揉めたか 小林浩美会長は「説明不足」を謝罪したが・・・

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大会を開催する主催者とLPGAの契約は、小林浩美会長が言うように「守秘性が高い」ため、個々の内容については明らかではないが、これまで主に放映権は主催者が持ち、大会の放映を主催者から託されたテレビ局、広告代理店などがスポンサーを探してくる、という流れが基本的だとされている。

ただ、放映権の帰属というのは女子に限らず、日本のゴルフツアーの成り立ちからいってあいまいになっていた。小林会長の会見によると、女子ツアーでは放映権に帰属に関する明確な文書はないという。

これは、トーナメントをつくり、テレビ放映するために、主催者に任せきりだった歴史がある。テレビ局側は赤字になっても「将来のために」と、続けてきた経緯もある。主催者自体にテレビ局が入っているトーナメントも多い。女子ツアーがここまで大きくなったのは、主催者、テレビ局の役割が大きいのは確かだ。

人気が上昇、安定してきたこの時期になって「なぜ?」とテレビ局側の言い分もわかる。営利企業なので「これから稼げる」ということなのかもしれない。

一括管理の目的、LPGAの言い分は?

今回の一括管理の目的について、小林会長は「(LPGAの)持続可能な財政基盤を整える」としている。これまでのパッケージだと、LPGAが肖像権を持つ選手たちが出ている大会が放送されても、協会の大きな収入にはなっていない。現状では、主催者(テレビ局)、協会とも放映権を有効活用できていないといえる。

男女の海外ツアーではアメリカ、欧州ほか多くのツアーでは放映権を協会が持っていて、協会の大きな収入源になっている。特に男子のアメリカツアーの放映権料はタイガー・ウッズの活躍もあって高額となり、そのおかげで前出のZOZO CHAMPIONSHIPのようにアメリカツアーの試合は日本とは桁違いの賞金額となり、選手たちの年金なども充実している。

LPGAは2013年の法人改革で社団法人から一般社団法人に移行し、税率が19%程度から40%前後に跳ね上がり「これまでと同じことをやっていたのでは、当協会そのものの存続が危ぶまれる財務状況」(小林会長)と、主催者から得る大会の公認料やグッズ収入などだけでは財政基盤は弱い。

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