「ソニー社員、社長、助教」こなす27歳の素顔 1人3役を華麗に実践できる理由に迫った

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最後に、複数の「好き」を仕事にしている正能さんだが、今後どのような働き方をしていきたいかについて聞いた。

「”働き方”より”生き方”を考えるのが好きです。私にとっての理想の生き方とは、好きな人と好きな場所で好きなことをして暮らすことです。そのために、いつも“What(自分が何になりたいか)”ではなく、“How(自分がどのようにありたいか)”を考えるようにしています。

それを追求していくと、私にとっての理想は”自尊心”と”プライド”のバランスが保たれている状態です。自分が納得していても人から認められていない状態や、自分が納得していないのに人から認められている状態は、いずれも私が理想とするところではありません。ですから、プライベートでも仕事でも、自分が納得できて、人からも認めてもらえる状態をつくりたいと思っています」

実力以上に評価されることに危機感

SNSが急速に普及し、誰もが簡単に情報を発信することができるようになった。その一方で、簡単にプライベートを捏造し、プライドを満たすこともできるようになった。審美眼のないメディアも、中身が伴わない人を持ち上げてしまうようになった。実際に物事を生み出すことなく、あたかも何か新しいモノを生み出しているような投稿を続けていると、あっと言う間に飽きられてしまう。正能さんは、そのことをよく理解している。

正能茉優(しょうのう まゆ)/ハピキラFACTORY代表取締役、ソニーモバイルコミュニケーションズ、慶應義塾大学大学院 特任助教。1991年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学在学中の2013年にハピキラFACTORYを創業。大学卒業後は広告代理店に就職。経済産業省「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する研究会(2016年度)」委員(撮影:尾形文繁)

「これまでの流れを紐解けば、女性が社会で働くことを切り開いてくださった先輩がいます。すると今度は逆に、身を粉にして働くことが本当に幸せなのかと、自分のプライベートが充実していることをコンテンツにする女性が出てきました。

ところが、私生活を売り物にするだけだと、消費されるだけのコンテンツになってしまう。だから私は、ほどよくコンテンツとして使っていただきながらも、自らの手で事業や価値を生み出し続ける人でありたいと思っています」

自分が実力以上に評価されることに危機感を抱き、カラッポの行動で世の中にチヤホヤされてプライドだけを満たすのではなく、自ら生み出すことに取り組み、自尊心を満たすことによって、双方のバランスを保つ。

自身の実績と評価の乖離に気を配り、等身大で歩む正能さんの生き方に、いま世の中から多くの共感が集まっているのだろう。

川下 和彦 クリエイティブディレクター/習慣化エバンジェリスト

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かわした かずひこ / Kazuhiko Kawasita

2000年、慶應義塾大学大学院修士課程終了後、総合広告会社に入社。マーケティング、PR、広告制作など、多岐にわたるクリエイティブ業務を経験。2017年春より、新しい事業を創造し、成長させることを標榜するスタートアップ・スタジオに兼務出向。広告クリエイティブに留まらず、イノベーション創出に取り組んでいる。著書に『コネ持ち父さん コネなし父さん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ざんねんな努力』(アスコム)などがある。(撮影:原貴彦)

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