ただし、「好き」を見つけることと、実際にそれを仕事にすることは違う。果たして自分にうまくできるか、周りに本業をおざなりにしていると思われて、組織内での評価が下がってしまうのではないだろうかと躊躇してしまう人も少なくないだろう。そんな不安や心配に対して、正能さんはこう言う。
「やってみたいことができたら、”ラーメン&ライス”くらいの気持ちでまずは取り組んでみればいいと思う。ラーメンだけじゃなんだか足りないから、ごはんも食べてみようという感じです。いきなり『好きなことを仕事にしよう!』と言われても、実際はなかなか難しいのが現実です。しっかりベースとなる仕事をしながら、気になっていることをやってみればいいのです」
大きくて立派なことは孫さんがやる
新しいことに挑戦しようと思うとき、人は大きく身構えがちだ。しかし、その必要はないと、正能さんは続ける。
「大きくて立派なことは、孫さんとかビル・ゲイツさんがやってくれるから、私たちはいいのです(笑)。清水の舞台から飛び降りなきゃいけない覚悟が必要なことは、やらないほうがいい。痛いし、死ぬかもしれない。
そういうのは覚悟すらしなくても飛び降りられる人たちにお任せして、私みたいな普通の人はまずは無理せずできる範囲でやってみる。それが社会に認められるとうれしくて、その結果ますます好きになっていく。そんなふうにして、できることを増やしていけばいいと思っています」
スタートアップ界隈では「リーン(lean)」という言葉が浸透しているが、起業に際しては、いきなり大掛かりに取り組むのではなく、「無駄がない」状態からスタートするのが鉄則だ。
このことは、個人のキャリア形成にも当てはまるのではないだろうか。
正能さんが大学に通いながら起業し、小布施堂の「栗鹿ノ子」をハピキラでプロデュースし、「かのこっくり」として渋谷PARCOで販売するまでの期間もわずか5カ月だった。やりたいと思うことができたら、まずは無理のない範囲でやってみて、徐々に小さな成功体験を積み重ねていけばいいと、正能さんは教えてくれる。
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