日本人の働き方が「時代遅れ」である根本理由 「働き方改革」に欠けている視点とは?
日本と海外では、考え方や感覚が異なるモノ・コトが少なくない。「住む場所」もその1つだろう。たとえば、日本では仕事場に近い都市部に住みたいと思っても、家賃などの理由から郊外住まいを選ぶ人が多い。結果、都市部ではドーナツ化現象が進んでいる。
一方、南アフリカのヨハネスブルクでもドーナツ化現象が起きているが、日本とはまったく違う理由からだ。世界で最も危険といわれるこの街には、多くの企業がオフィスを構えているが、都市部の治安が悪すぎて、おカネのある人ほど郊外に住みたがる。
働き方では先進国に後れを取っている
家賃を理由に郊外を選ぶ日本人と、治安の良さを求めて郊外を選ぶ南アフリカ人。結果として、起きている状況は似ていても、そこに至る過程や理由に大きな違いがあることに、海外を旅するたびに気づかされる。
日本と海外でこうした考え方と意識の違いを特に大きく感じるのは働き方だ。筆者はこれまで67カ国を旅して、いろいろな人と接する機会があったが、世界の人と話していて、驚くのはいかに日本人の働き方が「時代遅れ」か、ということだ。グローバル化が進む中で、日本企業は急ピッチで対応を進めているが、働き方に関していえば、少なくとも先進国に比べて日本人の働き方におけるグローバル化は大幅に遅れている。
筆者が考える「働き方のグローバル化」には、大きく2つの要素がある。1つは、「働く場所に縛られない」ということだ。たとえば、日本人は国内転勤でさえ嫌がる向きあるが、EU内では別の国で働くことは当たり前のように行われている。ジェトロのホームページによると、ドイツではEU域内の国籍を持っていれば労働許可は不要だし、フランスでは欧州経済領域(EEA)、およびスイス、モナコ、アンドラ、サンマリノ籍であれば労働許可は不要だ。
そのほかの地域に住んでいる人たちも、国外で働くことには積極的だ。以前、南アフリカを旅行していたときにインド人の2人組と出会った。シンガポールで人材エージェントとして働いているという。英語が苦にならない彼らにとって、シンガポールに働きに行くというのは、日本でいえば名古屋に住んでいる人が、大阪で働くという感覚なのかもしれない。
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