なぜ日本は「女性の生産性」が極端に低いのか 男性と「同一労働」をさせる覚悟、する覚悟

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日本は他の先進国に比べ、男性に対する女性の賃金比率が低いままの状況が続いている(図表は男性の平均賃金に対する女性の平均賃金の比率。アメリカ経済統計局、国税庁データより筆者作成)
日本は「成熟国家」などではない。まだまだ「伸びしろ」にあふれている。
著書『新・観光立国論』で観光行政に、『国宝消滅』で文化財行政に多大な影響を与えてきた「イギリス人アナリスト」にして、創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社社長であるデービッド・アトキンソン氏。
彼が「アナリスト人生30年間の集大成」として、日本経済を蝕む「日本病」の正体を分析し、「処方箋」を明らかにした新刊『新・所得倍増論』は、発売3日で2万5000部のベストセラーとなっている。その中から、「日本人女性の生産性」について解説してもらった。

生産性ランキング低下と日本人女性

『新・所得倍増論』は、発売3日で2万5000部のベストセラーに(上の書影をクリックすると、アマゾンのページにジャンプします)

書籍を上梓すると、やはりその評判は気になるものです。つい、アマゾンのレビューなどを何度も確認してしまいます。

その中に「日本経済低迷の原因は、女性が怠け者だから」というタイトルの、「星5つ」のレビューがありました。高評価はありがたいのですが、私が言いたかったのはそういうことではありません。誤解を生んでしまったままでは女性の皆様に申し訳ないので、本稿では、女性の生産性についてあらためて考えていきたいと思います。

まず「日本経済が低迷しているのは、生産性を向上させてこなかったから」というのはまぎれもない事実です。「GDP=人口×生産性」というのは動かし難い真理であり、1990年代以降の日本は人口が増えていないのですから、生産性を向上させなければ経済が低迷するのは当たり前です。この単純な議論に、難解な経済理論は不要です。

では、なぜ日本の生産性は低いのでしょうか。記事への反応を見ていると、「会議が長い」「サービス残業」「規制」などが問題だと指摘されています。しかし、データを分析すると、為替と物価水準と労働人口を調整した1人あたりGDPベースで日本が先進国最下位になっている理由は、別のところにあることがわかります。

日本の生産性が他の先進国と比べてここまで低い理由の約半分は、「日本人女性の生産性の低さ」で説明できます。男性の働き方を改善することによって生産性を上げることも可能ですが、一番期待できるのは女性の働き方改革です。

では、「日本人女性の生産性が低い」のは、なぜでしょうか。

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