なぜ日本は「女性の生産性」が極端に低いのか 男性と「同一労働」をさせる覚悟、する覚悟
国税庁によると、1979年度の女性の平均給与は男性の平均給与の51.1%。一方、2014年度の調査では、52.9%。35年間で、女性の社会進出は劇的に進んだにもかかわらず、実のところ男女格差はほとんど改善されていないというのは、驚くべきことです。
事実、同じ時期の米国の数字を見ると、1979年の女性の給与は男性の62.3%でしたが、2014年になると82.5%になっています。これは米国において、女性が男性と同じような仕事に就く割合が増えてきたことを意味します。
ちなみに、この数字は同一労働における数字ではなく、収入そのもののギャップです。海外では、男女間の収入格差の議論になると、同一労働が進んでいるので、同一労働における数字が引っ張り出されますが、日本は同一労働におけるギャップよりは、そもそも他の先進国に比べて男女が同一労働をしている割合そのものが低いということを、この収入ギャップが示唆しています。
他の先進国では、女性の社会進出が進んでいるだけではなく、同一労働をする割合も増えているので、女性の生産性が著しく向上しています。それに比べて、日本は女性の社会進出自体は進んでいますが、生産性の高い職に就く割合が低いままなので、労働人口に占める女性労働者が増えれば増えるほど、生産性を圧迫するのです。その分、海外とのギャップは広がっていきます。
日本人女性の生産性が低い原因は何か
このような話をすると、「日本人女性の収入が低いのは非正規雇用が多いからだ」と、雇用形態を重視する人がいますが、その考え方は「結果論」にすぎません。男性と同じ仕事をして、同じ生産性を上げているにもかかわらず、「非正規だから」女性の給料が低いのならば、企業からすれば、女性は利益率の高い人材として重宝されるはずですし、企業の利益率が大きく改善するはずです。しかし、日本企業のさまざまなデータを見ても、そのような傾向は確認できません。
ということは、女性たちがもらっている収入は、実はその生産性にふさわしいものである可能性が高いのです。そうであるならば、女性労働者の比率が上がっても、日本人全体の生産性が改善しないということにも説明がつきます。へたをすれば、女性の労働参加は生産性のマイナス要因になりかねません。
ただ、断っておきますが、私は日本の生産性が高くないことの「犯人」が女性たちだ、などと言っているわけではありません。かといって、女性たちがやっている仕事が正しく評価されていない、もっと給料を上げるべきだと言っているわけでもありません。これまでの分析でも、男女間の収入ギャップを単純な給料水準の「差別」ととらえるのは妥当ではないことは明らかです。
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