日本は、ついに「1人あたり」で韓国に抜かれる 生産性向上を阻む「昭和の思考」という呪縛

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日韓の生産性の差は、1990年の2.44倍から、2015年には1.04倍まで縮まった(世界銀行データより筆者作成)
日本は「成熟国家」などではない。まだまだ「伸びしろ」にあふれている。
著書『新・観光立国論』で観光行政に、『国宝消滅』で文化財行政に多大な影響を与えてきた「イギリス人アナリスト」にして、創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社社長であるデービッド・アトキンソン氏。
彼が「アナリスト人生30年間の集大成」として、日本経済を蝕む「日本病」の正体を分析し、「処方箋」を明らかにした新刊『新・所得倍増論』が刊行された。そのポイントを解説してもらう。

労働人口で計るとさらに悪化する日本のランキング

『新・所得倍増論』(上の書影をクリックすると、アマゾンのページにジャンプします)

前回の記事(「『1人あたり』は最低な日本経済の悲しい現実」)では、日本の生産性が先進国で最低であることをご紹介しました。この記事には多くの反響をいただきました。

一番疑問視されたのは、日本は高齢者が多いから、生産性を計るために1人あたりGDPを使うと、日本の生産性が過小評価されるのではないかという指摘でした。すなわち、GDPを人口で割ると、経済にあまり貢献していない高齢者の比率が高いため、生産性の値が低くなるだろうとのことです。これは、一見もっともらしい指摘に聞こえます。

しかし私は長年アナリストをやっていましたので、その調整はしてあります。高齢者が多いというのは、たしかに日本の1人あたりGDPを押し下げる要因となりますが、日本は高齢化だけではなく、少子化も進んでいます。つまり、子供の人数が少ないのです。あまり経済に貢献しない子供は、少なければ少ないほど、1人あたりGDPを押し上げる要因となります。

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