「ソニー社員、社長、助教」こなす27歳の素顔 1人3役を華麗に実践できる理由に迫った

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2010年大学1年生の夏、正能さんは当時通っていた慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の教授の勧めで、長野県小布施町「まちづくりプログラム」のインターンシップに参加した。まだ「地方創生」という概念すらなかった時だ。

地域に暮らす人たちとの交流を通して、都会にはない暮らしぶりや、ものづくりにかける思いに魅かれた正能さんとプロジェクトメンバーは、この町で学生版ダボス会議を立ち上げようと考えた。2年の準備期間を経て、新しい社会モデルやライフスタイルの実現を目指してアイデアをぶつけ合う「小布施若者会議」を創設した。

2012年大学3年生の夏、3日間にわたるイベントは白熱し、大成功に終わった。しかし、イベントを終えた正能さんの心の中で、1つだけずっと気になっていることがあった。

老舗店のバレンタインギフトを開発

「小布施若者会議への女性の参加率が低く、全体の2割程度にとどまりました。それをきっかけに、どうすればもっと女性に小布施町に興味を持ってもらえるか考えるようになりました。その結果思いついたのが、本来持っている魅力が十分に伝わっていない地方の商材を発掘し、女性目線で”かわいい”を入り口に商品をプロデュースすることでした」

そこで正能さんは、同じくインターンに参加していた大学の先輩を誘い、その冬に「ハピキラFACTORY」という会社を興した。社名は、中学時代にハッピーでキラキラした日々を送りたいと書いていたブログのタイトル「まゆのハピキラDAYS」の「ハピキラ」と、ものづくりへ主体的に関わりたいという思いで「FACTORY」を組み合わせた。

かわいいパッケージに入れた「かのこっくり」(写真:ハピキラFACTORY)

初仕事となったのは、100年の歴史を持つ小布施堂の栗菓子「栗鹿ノ子」のバレンタインギフト開発だった。

美味しい中身はそのままに、女性・若者目線でパッケージをかわいいハート形にデザインし、ネーミングも「かのこっくり」に変更。

商品を作るだけでなく販路開拓にも携わり、渋谷PARCOを中心にわずか1週間あまりで2000個を売り切った。

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