「ソニー社員、社長、助教」こなす27歳の素顔 1人3役を華麗に実践できる理由に迫った

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ハピキラFACTORYでの経験を通じて、「つくる・売る・広める」に関心を深めた正能さんは、大学卒業後に事業を続けながら「売る」「広める」を仕事にしたいと広告代理店に就職した。その後、より川上の「つくる」に深く関わりたいという思いを強め、2016年に事業会社であるソニーに入社する。

2018年4月からは、両社で実業経験を積み重ねる傍ら、「早い段階に自らの手で、働き方の選択肢を増やせる人を育てたい」と考え、慶應義塾大学大学院で教鞭をとる。

好きな仕事を次々にビュッフェプレートの上に載せていく正能さん。その一方で、「好きなことが見つからない」という人も少なくないだろう。では、いったいどのようにすれば、正能さんのように自分の中の「好き」に気づくことができるのだろうか。

「最初から好きなことなんてない」

「そもそも人間は三大欲求以外、最初から好きなことなんてないと思っています。ハピキラも地方が好きだと確信してから始めた仕事ではありません。先生に誘われて地方へ行ったら、ハピキラを始めることになって、今もそれが続いている。

結果的に『地方が好きだ』と言える状態になっただけです。だからこそ、明確にやりたくないと思うこと以外のすべてのことに対してアクションを起こして、それが続いたら”好きなこと”と言っていいのではないかと私は思っています」

「地元の人だけが知っている美味しいモノ」をテーマに、お菓子を発掘し、詰め合わせたギフトボックス(写真:ハピキラFACTORY)

自分探しをしている間に、月日はどんどん過ぎていく。「自分は何が好きかと悩むくらいなら、よほどイヤでない限り、まず行動してみれば、好きなことに気づけるのではないか」と正能さんは言う。

「人のモチベーションには、格差はそれほどありません。あふれるほどのやる気がある人なんて、限られた人だけ。どちらかというと”アクション格差”、つまりは行動に格差が生まれているように思います。最初は面白そうだと思わなくても、実際にやってみるかどうかで、明暗が分かれる」

頭の中でずっと好きかどうかを考えるくらいであれば、積極的に組織の外にも出てみることを正能さんは勧める。

「私は日頃から”可能性ボタン”を連打することを心がけています。自分が信頼する人に誘われたら、即答して、行く。損得を考えるのではなく、未来の何かにつながるかもしれないし迷わず行動するんです。会食の予定が1日に2件、3件と入ってしまうこともありますが、そこから”好き”につながる可能性に出会うことがあります」

組織の中にひきこもっていたら、新しい出会いは生まれない。さまざまな刺激に出会い、ほんの少しでも気になることを見つけたら、それがやがて「好き」に変わる、やりたいことの原石なのかもしれない。

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