──原典がかなりはしょられているそうですね。
初出は1947年で、その後国語の教科書や教科化前の道徳の副読本にも掲載されている。書かれた時期やカットされた場面を考えると、「みんなで決めたことは意見が違っても守ろう」という「民主主義の原理」を伝えることが作者の意図だったと思うが、教科書ではそうした部分が省略され、自己犠牲の必要性が強調されてしまった。そもそも、70年も前に書かれた高校野球の話を小学6年生の教材とすることに無理がある。
逆に新しいニュースを盛り込んで不適切な内容になったのが、ある教科書の補充教材「下町ボブスレー──町工場のちょう戦──」だ。下町ボブスレーをジャマイカチームが冬季五輪で採用と書き、乗り込んだ安倍首相の写真まで入れたが、実際は使われなかった。
教科書を使うほうが「楽」
──なぜこんなことに。
道徳の授業時間数を確保するための手段にすぎない教科化を急いだからだ。検定教科書は編集開始から採択までにほぼ3年かかる。道徳は新しい教科なので5年は必要だったが、授業の開始を急いだため、2020年度の新学習指導要領実施から2年前倒しになり3年しかなかった。
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