親は「子どもを自立させたい」とよく言います。では、具体的には何ができれば自立していると言えるのでしょうか。子どもにとって、あるいは人間にとって、本当に大切な自立とは何を意味するのでしょうか。みなさんは、それについて真剣に考えたことがありますか?
自立しているとは何ができる状態のことか
私が教師だったとき、授業参観の後の懇談会で、よく親たちに「自立しているとは何ができる状態のことですか? 具体的に5つ挙げてください」という質問をしました。
教育評論家になってからも、いろいろな親たちに聞いてきました。この質問をすると、ほとんどの人が「えっ?」という顔でしばらく戸惑います。今までまったく考えたことがないからだと思います。そして、自分たちの生活を思い浮かべながら次のようなことを挙げます。
「朝、起こされなくても自分で起きる」「自分で進んで顔を洗える」「食事中にこぼしたものは自分で拭ける」「食後は親に言われなくても自分で歯を磨ける」「自分から勉強を始められる」「次の日の支度を自分でできる」。親たちが漠然と思っている自立とはこういうことです。毎日同じことを親に言われなくても、こういった生活習慣的なことが自分でできることを自立と呼んでいるのです。
もちろんこういったことはすべて自分でできたほうがいいです。できるに越したことはありません。でも、実は子どものときにできなくてもそれほど心配することはありません。なぜなら、大人になって本人がその気になれば、その人なりにできるようになるからです。
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