フラリーマンを作り出す「日本のしつけ主義」 大人になって本当に必要な「自立」の意味

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その後、お母さんがいろいろ調べてくれて、消しゴムはんこ製作用のセットがあることがわかりました。はんこ製作に向いている消しゴム、彫刻刀、インク、紙などが入っていてとても便利なものです。また、消しゴムはんこの本も買ってくれましたし、消しゴムはんこを葉書サイズの紙にスタンプして、それを玄関に飾ってくれたのもうれしかったそうです。こういった応援のおかげで、ますます楽しくなって熱中しました。

その熱中は2年半くらい続き腕前もかなり上達しました。みんなに「すごい!」と言われるようになり、自信がつきました。中学に入る頃から熱が冷めて、興味が別のものに移っていきました。でも、後で振り返ってみて、消しゴムはんこに夢中になっていたときはとても楽しい時間だったし、「これは誰にも負けない」ということで自分に自信が持てるようになったそうです。そこで得た自信が大きくて、その後いろいろなことに自分から進んでチャレンジするエネルギーになったとも言っていました。

こういう例はたくさんあります。親が応援してくれると、子どもは好きなことをどんどん深めていくことができるのです。すると、「自分はこれが得意だ」と思えるので、自信がついて自己肯定感が高まります。そうなると、ほかのことでもできると思えるようになり、自分がやりたいことを自分で見つけてどんどんやっていく自己実現力がつきます。本当の自立ができるようになるのです。

子どもが苦手なことは?

ということで、親であるみなさんには、まず本当の自立とは何かを理解して、それをいちばん大切にしてほしいと思います。そして、子どものうちに生活習慣的な面で叱り続けないようにしてほしいと思います。

繰り返しになりますが、叱られ続けた子どもは「どうせ自分はダメな子だ」と思い込むようになり、自己否定感にとらわれた状態になってしまいます。そして、「自分がやりたいことを自分で見つけてやっていく力」、つまりいちばん大切な自立の芽も摘み取られてしまいます。

それを避けるためには、子どもが苦手なことはなんとかうまくできるように合理的な工夫をしてあげてください。それでも無理ならやってあげてもいいですから、いつまでもそんなところをつつかないでください。そんなことにエネルギーを使わないで、子どもがやりたがることを応援するほうに向けてください。

先に伸ばせるところをどんどん伸ばしてあげましょう。そうすれば、よい循環が始まります。子育てや教育のコツは、「難しいことは後回しにする。先に上げられるところから上げていく」ことです。

「できないことをやってあげると自立ができない」などというのは迷信です。自己肯定感と自己実現力を育ててあげれば、自分でどんどん伸びていけるようになります。生活習慣的なことも、だんだんできるようになります。

親野 智可等 教育評論家

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おやの ちから / Chikara Oyano

長年の教師経験をもとにメールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。読者数は4万5000人を超え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「自分でグングン伸びる子」が育つ親の習慣』など、ベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。全国各地の小・中学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会でも大人気。ブログ「親力講座」もぞくぞく更新中。講演のお問い合わせとメルマガ登録は公式サイトから。Xで毎日発信中。

 

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