フラリーマンを作り出す「日本のしつけ主義」 大人になって本当に必要な「自立」の意味

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たとえば、これができないと仕事に差し支えるとか、生活がうまくいかないなどというとき、一気にスイッチが入ってできるようになります。あるいは、取りたい資格が取れない、就きたい仕事の試験に合格できない、好きな異性に嫌われてしまう、などというときです。つまり、自分の将来、人生、仕事や生活などを真剣に考えるようになれば、それなりにできるようになるのです。

それについては下記の記事も参考にしてください。

「子どものうちなら短所は直せる」というウソ

「親がやってほしいこと」ではない

子どものうちに伸ばすべき本当に大切な自立とは、こういったものとはまったく別のものです。それは、自分がやりたいことを自分で見つけてやっていくということです。言い換えれば「自己実現力」です。主体的な生き方といってもいいでしょう。

それができる人が本当に自立した人間です。そして、これから到来するAIの時代をたくましく生きていける人なのです。でも、これは大人になって急にできるものではありません。子どものうちから、そういう生き方をさせてあげることが大切なのです。

いちばん肝心なのは、「自分がやりたいこと」です。「親がやってほしいこと」ではないのです。「朝自分で起きる」とか「自分で顔を洗う」など、親たちが挙げるものはすべて親がやってほしいことです。

親はみんな、自分がやってほしいことを子どもが進んでやってくれることを自立と呼んでいます。それは自立というより自動化あるいはロボット化と呼んだほうがいいかもしれません。親たちの望みどおりに動く、親たちにとって都合がよい、手のかからない育てやすい子にすることを自立と呼んでいるのです。

そして、問題はこういった親が望むことができない子がたくさんいて、その子たちは自分がやりたいことを優先して生活しているので、その結果毎日叱られ続けているということです。「また○○してない。ちゃんとやらなきゃダメでしょ。何度言ったらできるの。自分がやりたいことばっかりやってないで、やるべきことをやらなきゃダメでしょ。そういうずるいところを直しなさい」「そんなことはやめて、これをやりなさい」などと叱られ続けているのです。

それで直るかというと、先ほど書いたように直ることはほとんどありません。それどころか、叱られ続けた子どもは「どうせ自分はダメな子だ」と思い込むようになり、自己否定感にとらわれた状態になってしまいます。そして、「自分がやりたいことを自分で見つけてやっていく力」、つまりいちばん大切な自立の芽も摘み取られてしまいます。

子どもの頃からさんざん叱られ続け、「そんなことはやめて、これをやりなさい」と言われ続けて大人になり、そこで急に「あなたは何をやりたいの? 自分のやりたいことを自分で見つけて主体的に生きなさい」と言われてもできるはずがありません。

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