「親という病」はなぜスポーツ界に蔓延するか 常軌を逸した「えこひいき」問題から考える
女子レスリング、日大アメフト、ボクシング、体操とスポーツの不祥事が続くなか、先週、ウエイトリフティング女子日本代表監督でもある同協会の三宅義行会長(72)による選手へのパワハラ問題が明らかになった。
三宅会長が与えたメニューとは違う練習をしていたら、コップを投げつけられた。意見が対立すると練習場から閉め出された。あいさつがなかったという理由で怒鳴りつけられたことが告発文書に記されていたが、三宅会長本人への聴き取りもせず不問に付そうとしたことが問題になった。
体重別のウエイトリフティングは階級や個々の状態で異なる練習をするのが当然のはず。だが、関係者によると同会長は、娘である宏実選手を優先した合宿スケジュール、練習メニューを組んでいた可能性は高いという。
三宅会長はメキシコ五輪(1968年)の銅メダリスト。宏実選手をロンドン、リオ五輪と2大会連続でメダルを獲得させるなど成果を残してきた。そうするなかで協会内での権力は増大。ロンドン五輪翌年の2013年に女子代表監督、リオ五輪前には副会長、閉幕して数カ月後の16年秋には会長に就任している。
公益社団法人である競技団体のトップになるのであれば、娘が現役でオリンピック出場を続ける中で団体トップに就任するというような、利益相反の構造は回避すべきではなかったか。
振り返れば、女子レスリングの栄和人・元強化本部長も今年3月に行われた2018年女子W杯代表に娘を選出。直近の大会である日本選手権で5位という成績にもかかわらず選ばれたため「えこひいきだ」との声が上がった。
ほかにも日本ボクシング連盟の山根明・前会長は、ロンドン五輪で村田諒太が金メダルを獲得した決勝で、村田とほとんど面識のない自身の息子をセコンドにつけた。「(権力のある自分の)息子がつけばジャッジを味方につけられる」と言い訳したが、村田の尊厳よりもわが子の実績作りを優先したように映る。
欠けている3つのこと
これら不祥事の裏側に、「親という病」が垣間見える。この病にかかると、わが子かわいさゆえ、盲目になった末に常軌を逸脱してしまう。よって、そこには3つのことが欠けている。
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