大坂なおみが世界の称賛と同情を集めたワケ 全く新しいタイプのヒロインが誕生

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大坂なおみ選手とセリーナ・ウィリアムズ選手(写真:Robert Deutsch-USA TODAY Sports)

“Born in Japan”の全く新しいタイプのヒロインが誕生した。9月8日に激闘の末、全米オープンの王者の座を手にした大坂なおみ選手だ。

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日本人のみならず世界のテニスファンの心をわしづかみにするチャーミングなキャラクターの大坂選手だが、その裏には、彼女をしっかり支える名コーチの存在があった。

彼女の不思議な魅力と、その力を引き出したコーチのコミュ力について掘り下げてみたい。

観客からの大ブーイングに対して「ごめんなさい」

何とも、感情を揺さぶられるドラマチックな決勝だった。歴代最多の四大大会24勝がかかった女子テニス界の絶対王者セリーナ・ウィリアムズとの決勝戦。3回の反則を指摘され、それに対してたびたび、怒りをぶちまけるウィリアムズと彼女に加勢する観客。圧倒的なプレッシャーと威圧感の中で、冷静さを失わず、戦い抜き、王冠を勝ち取ったわけだが、その後の表彰式での彼女の振る舞いが、世界の称賛と同情をさらに集める結果となった。

式が始まり、結果に不満足な観客から大ブーイングが巻き起こると、彼女は瞬間、サンバイザーをぐっと押し下げて顔を覆い、涙を隠した。その後、表彰台のインタビューで、司会者の質問に対し、目に涙を浮かべながら、「質問の趣旨とは違うのですが、ごめんなさい。皆さん、彼女(セリーナ・ウィリアムズ)を応援していたと思うのですが、こんな風に終わらせる結果になってごめんなさい。試合を見てくれてありがとう」と言い、小さく頭を下げたのだ。

大坂選手は、日本の選手ということになっているが、日本にいたのは3歳まで。それ以降は20歳の現在までずっとアメリカで育っているため、アイデンティティは「アメリカ人」といったほうがふさわしいような生い立ちだ。英語が母国語で、日本語もたどたどしいが、なぜか典型的な「アメリカ人女性」とも違うなんとも独特な雰囲気を醸している。

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