ヒマラヤ、過去最多13店舗を「閉鎖」する事情 スキー人気低下、ファッション性でも出遅れ
往年のバブル世代、スキー世代には、いまや懐かしい名前かもしれない――。
スポーツ小売り大手のヒマラヤは2017年8月期、不採算店13店を閉鎖する。実に「ヒマラヤ」既存店の1割にあたり、過去最多の店舗閉鎖となる。
ヒマラヤは岐阜県地盤のスポーツ用品小売り企業だ。総合的にスポーツ用品を扱う量販店「ヒマラヤ」を123店、2011年に買収した関東地盤でサッカーや陸上に強い「B&D」を32店、運営する(2016年7月末現在)。スポーツ用品小売り業界では、アルペン(売上高2236億円)、ゼビオホールディングス(同2213億円)が2強。規模では劣るものの、ヒマラヤは売上高3位の位置にある。
2016年8月期は大幅減益となる見込みだ。会社側は17日に業績修正を発表。売上高は714億円(前期比1.3%減)、営業利益は6億5200万円(同72.4%減)、最終利益は店舗減損損失と店舗閉鎖損失引当金繰入を計上し7億5800万円の赤字(前期は12億4200万円の黒字)と、大幅下方修正した。最終赤字に転落するのは2005年8月期以来となる。
記録的な暖冬でウィンター用品不振
今期大幅減益となる要因は主に2つある。
まず1つは、記録的な暖冬によって、スキー・スノーボード用品や冬物重衣料の販売が大きく落ちこんだためだ。スポーツ量販店にとって、ウィンター用品は、高単価で粗利も高い事業である。
上期にウィンター用品が不振だったため、ヒマラヤは今年3月末に売上高を28億円、営業利益を10億円下方修正している。誤算だったのが、加えて、2016年春夏物も振るわなかったこと。ヒマラヤの野水優治社長は4月上旬の中間決算説明会で、「下期の商品別売上計画の大きな修正は行わない。4月以降に十分挽回可能な範囲と見ている」と語ったが、遅れを取り戻すことはできなかった。
2015~2016年にかけては、為替レートの変動や仕入れ価格の上昇などを理由に、商品価格値上げに踏み切るメーカーが目立った。「外資ブランドの中には価格を2ケタ上げたブランドもあったようだ」(あるスポーツメーカー社員)。そうした中でヒマラヤでは「デフレ基調で客の低価格志向が強まった」(担当者)。
ヒマラヤは客数減が目立ち、既存店売上高が2015年11月~2016年6月まで、前年を大きく下回る状況に。結果、在庫の消化が進まず、第4四半期(2016年6~8月)に値引き販売を強いられることとなった。
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