8万円超の「水沢ダウン」がバカ売れする理由 カナダグース相手に気を吐く国産ジャケット
「カナダグース」や「ザ・ノース・フェイス」など、北米発祥のメーカーが席巻する冬物アウター市場。その中で気を吐く、日本製のダウンジャケットをご存じだろうか。
スポーツメーカーのデサントが作る「水沢ダウン」が今、ファッション業界で注目を集めている。価格はいちばん安いモデルで8万円強、最も高いモデルだと12万円台と、スポーツ系のアウターとしては高価な部類だ。
にもかかわらず、販売店舗は増える一方。セレクトショップでの取扱量は2014年比で3倍になった。
直営店でも反響は大きい。原宿駅前の「デサント ショップ 東京」での10~12月期の売り上げは、2013年から2014年が2倍弱、2014年から2015年が1.5倍と年々拡大。「売上金額の半分を水沢ダウンが占める」(小俣寛人店長)という。
五輪選手団のために開発
人気の理由は、開発経緯と深い関係がある。もともとは2010年のバンクーバー五輪の日本選手団に提供するために開発されたアウターなのだ。
「(従来品とは)別の切り口で差別化しようと、ダウンの弱点を考えた。雨や雪でも着られるものを作りたかった」(デザインを担当したデサントの山田満ブランドディレクター)
耐水性を高めるために着目したのは、ダウン特有のキルトステッチ。一般的なダウンは生地の縫い目から水が浸入し、保温性が損なわれやすかった。そこで山田ディレクターは、熱圧着とシームテープによって表地のキルトステッチをなくす手法を考案した。
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