8万円超の「水沢ダウン」がバカ売れする理由 カナダグース相手に気を吐く国産ジャケット
「卸売りだと情報が伝わりにくい。客と接点を持ち、なぜその商品が売れたのかを知る必要がある」(国内の直営店事業を統括する伊藤隆明・リテール部部長)
収益柱に育った韓国では、客の嗜好を取り入れた現地企画品をこまめに投入したことが成功のカギだった。日本でも、客のニーズを商品開発や在庫管理に生かし、プロパー(正価販売)比率を向上させたい考えだ。
スポーツシーン以外に活路
もう1つの背景は、デサントが強みとしていたスキーや競技用のウエアの成長に陰りが見えてきたこと。競技人口の縮小に加え、スポーツ量販店におけるPB商品の増加、個人スポーツ商店の衰退など、流通環境の変化も逆風となっている。
「商業施設に直営店を出していかないと、売り上げを維持できない。スポーツシーン以外に活路を見出す必要がある。ライフスタイル提案型で業態を開発していけば、わざわざその店に行ってもらう理由になる」(伊藤部長)
従来のデサントとは異なる客層を取り込もうという姿勢は、斬新な店構えにも表れている。店舗設計を担当したのは、「コーヒー界のアップル」とも評されるブルーボトルコーヒーの店舗などを手掛けた、建築家の長坂常氏だ。
白一色の店内には、カラフルなダウンジャケットが吊り下げられており、ボタンで昇降できる。何より重視したのは、商品の見やすさだ。
「トレーニングウエアも扱う従来型の店舗には来なかったような人が来店する。既存ブランドのダウンに飽きた人が『いいね』と言ってくれる」(代官山店の小森優敏店長)
デサントは、ライフスタイル領域を新たな成長エンジンとしていけるか。それは、秋冬のシーズン商材である水沢ダウンに続く、新たな商材開発の成否に懸かっている。
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