名門ミズノは、なぜ時代遅れになったのか

あまりに大きすぎた過去の成功体験

「ミズノスポーツスタイル」は1980年代の流行品がモデルの、カジュアルシューズだ(撮影:尾形文繁)

名門スポーツ用品メーカー、ミズノの存在感が薄れている。同社は1906年創業の老舗企業で、野球やゴルフ用品を軸に一大地位を築き上げてきたメーカーだ。野球では田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)ら、多くの有名選手と契約を結ぶ。

ところが、スポーツ用品業界で、かつて国内2強を競り合ったアシックスに売上高首位を奪われて約10年。アシックスの売上高が4000億円を超えたのに対し、ミズノは2000億円程度。時価総額でもミズノは業界3位とデサントの約半分にすぎない。

競合は早々に方向転換を決めた

ミズノが低迷している要因は二つある。まず、野球やゴルフなど、特定の競技用品に依存しきったことだ。少子高齢化の影響で国内のスポーツ人口は縮小傾向にある。

日本生産性本部によれば、野球の参加者は2005年に1250万人いたが、この10年で680万人まで減少。人気の低迷が続くゴルフも、場内でプレーする人口は、この10年間で3分の2となった。

国内の野球・ゴルフ用品市場は横ばいだが、これ以上の伸びは期待できない。競合は早々に手を打った。

ミズノと同じく、競技用品や学校向け商材が主力だったアシックスは、2001年にゴルフ事業から撤退し、経営資源の大半をランニングに集中させる。広告塔となる選手を設けず、世界各地のマラソン大会のスポンサーとなり、市民ランナーにブランドを訴求した。

またスポーツウエアに強いデサントは、街着用のアパレルやシューズを強化。消費者のニーズを取り入れた現地企画・生産品を投入することで、韓国部門を大きな収益柱に育て上げた。

一方でミズノは、日本人のトッププロから絶大な支持を集めるあまり、アシックスのように裾野の広い一般選手向けの市場をとらえきれなかった。「今までは有名選手やチームとの契約を重視しており、それ以外はタブー視された感覚があった」(同社幹部)。

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