今年(2月28日開催)で10回目を迎える東京マラソン。3万人以上のランナーがTOKYOを駆け抜けるシーンはもはや冬の風物詩といってもいいだろう。同時にこのビッグイベントには、巨額マネーが動いている。
前回大会(2014年度)の決算書を見てみると、経常収益は約28億7000万円にも上る。そのうち、参加費(ひとり1万800円)の合計は約4億4千万円で全体の15%ほどしかない。収益の66%ほどを占めているのが、企業協賛金(約18億9000万円)だ。これだけ協賛金を集めているスポーツイベントは他にどれぐらいあるだろうか。
「東京マラソン2016」を特別協賛するのは東京メトロ。協賛には、スターツ、山崎製パン、アシックスジャパン、大塚製薬、ビー・エム・ダブリュー、近畿日本ツーリスト、第一生命、セイコーなど27社が名前を連ねている。
協賛することにより、その企業は「東京マラソン」という名前を使い、商品やサービスをアピールすることができる。スポーツメーカーのアシックスや、給水のドリンクを提供している大塚製薬などは、競技に関連する商品を提供しているので協賛する意味がわかりやすい。では、スポーツ関連の企業以外はどういう狙いなのだろうか。
そこで、今回は東京マラソンに協賛する企業のひとつ、山崎製パンを取材。協賛企業のメリットなど、その裏側に迫ってみる。
1億円近いお金を出して協賛する理由
山崎製パンは、創業者・飯島藤十郎が学生時代に中距離選手として全国大会で活躍していたこともあり、以前から陸上競技の支援に熱心だったという。東京マラソンの協賛は第3回大会からで、今回で8年連続となる。
「東京マラソンの前からニューイヤー駅伝(全日本実業団駅伝)や大阪グランプリなど陸上競技の大会を協賛してきました。特に元日に行われるニューイヤー駅伝は今年で23年連続して冠スポンサーを務めさせていただきました。大阪グランプリは大会がなくなってしまいましたが、その後は日本選手権を協賛させていただき、今年で5年目になります。
弊社にとって、陸上競技は近しい存在ですし、特にマラソンや駅伝は、少しずつで着実に前へ進んでいくところが、企業姿勢と共通するところで、『応援したい』という思いでやらせていただいています」
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