東京マラソンに連続協賛する山パンの「計算」 知られざる協賛企業の「裏側」

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ちなみに『ランチパック』の人気トップスリーは、1位が「ピーナッツ」、2位が「たまご」、3位が「ツナマヨネーズ」。新商品が出ても、不動の人気だという。

大会に出場しない人にも商品をアピール

大会に出場しない人にも、しっかりアピールがある。ゼッケン引き換えが行われる「東京マラソンEXPO」は、毎年6万人以上の来場者が訪れる日本最大のランニングのトレードショーだ。様々な企業がブースを出展しており、山崎製パンはそこで『ランチパック』を販売し、走らない人にも商品をアピールしている。

「外国人ランナーの方にも『ランチパック』は人気ですね。やわらかくて真っ白いパンは珍しいみたいです」と同社。レース当日に社員の出番はないが、EXPOには、本社と、千葉工場のメンバーが同社のブースを運営する。人気商品だけでなく、各地域で販売されている「ご当地商品」など30種類ほどの『ランチパック』を販売する予定だ。

また、2月16日からの期間限定で、東京マラソンのキャンペーン商品として、「TOKYO X メンチカツ」の『ランチパック』も登場している。パッケージには、「東京マラソン2016を応援します」というロゴつき。EXPOと、デイリーヤマザキを含む関東地区の一部コンビニで10万食を販売するという。個人的には、「マラソン完走パン」のような東京マラソンのネームバリューを生かした商品を開発してもいいのにと思ったが、こちらは意外と控えめだ。

大会を協賛すると「東京マラソン」の名称を商品やサービスに使用できるというメリット以外に、「スポンサー枠」もある。協賛会社は一定数の出場枠を確保できるのだ。

具体的な枠の数は山崎製パンに教えてもらえなかったが、東京マラソンの参加を目指す社員のほぼ全員が、まずは一般枠にエントリーして、外れた人が企業内抽選に申し込むという。Wチャンスとなるものの、「初期の頃は当たりやすかったんですけど、ランニングをする社員が増えていることもあり、近年はなかなか当たらなくなってきています」と同社。協賛企業といえども、プラチナチケットを獲得するのは難しいようだ。

山崎製パンはランナーにとって“アンパンマン”みたいな存在だと書いたが、東京マラソンを協賛することでの最大のメリットは「企業ブランドのイメージUP」だろう。

「大会に出場した方には、給食のパンがおいしくて、力になりました、という声をいただいていますし、営業のお得意さまの反応もすごくいいですね。弊社で開催している『春のパンまつり』は今年で36回目です。山崎製パンは、一度手がけると、長く続ける会社なのです。2020年には東京オリンピックが控え、東京マラソンはそこに向けての重要な大会という位置づけもあり、素晴らしい大会を応援できているという充実感があります」

なんとなく目にするマラソン大会の協賛企業。その舞台裏を知ることで、企業の“思い”を知ることができるだろう。東京マラソンを完走したランナーはもちろん、今後はいつもの『ランチパック』が少し違って見えてくるかもしれない。
 

酒井 政人 スポーツライター

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さかい まさと / Masato Sakai

東農大1年時に箱根駅伝10区出場。現在はスポーツライターとして陸上競技・ランニングを中心に執筆中。有限責任事業組合ゴールデンシューズの代表、ランニングクラブ〈Love Run Girls〉のGMも務めている。著書に『箱根駅伝 襷をつなぐドラマ』 (oneテーマ21) がある。

 

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