なぜ日本女子のレベルは下がり続けるのか?
3月8日に行われた名古屋ウィメンズマラソンで新たなヒロインが現れた。佛教大を卒業して1年目の前田彩里(ダイハツ)だ。
23歳の前田は15kmの給水所で転倒しながらも、日本歴代8位となる2時間22分48秒をマーク。日本女子マラソン界にとって、待望ともいえる“新エース候補”の誕生だった。
前回のコラム『ついにブーム終焉? 東京マラソンの「功罪」』で、日本の男子マラソンは、世界との差が開いているということを書いたが、女子は男子以上にお寒い状態が続いている。男子は高速化する世界のレベルに対応できていないのが、「低迷」の理由。女子はというと、世界のレベルは停滞しているにも関わらず、日本のレベルが下降しているのだ。
日本の女子マラソンは2004年のアテネ五輪まで、オリンピックでは4大会連続で「メダル」を獲得してきた。しかし、北京五輪とロンドン五輪では「入賞ライン」にすら届かず、2大会連続で惨敗している。野口みずきがベルリンで2時間19分12秒の日本記録を樹立したのは、2005年9月のこと。男子同様、この10年間は時計の針が止まったままで、前田の激走は、07年の野口以来8年ぶりとなる2時間23分切りだった。
もう少し詳しくいうと、女子はマラソンだけでなく、5000mや1万mのレベルも近年はダウンしているのだ。なぜ日本の女子長距離界は弱くなったのか?
その原因には女子選手を取り巻く環境があると思い、元実業団選手のアラサー女子数名から話を聞いた。そこには陸上競技を得意とするスポーツライターですら知らない“深い闇”が広がっていた。
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