東京マラソンに連続協賛する山パンの「計算」 知られざる協賛企業の「裏側」

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東京マラソンは協賛金の額に応じてランクがあり、山崎製パンは東京メトロ、スターツの次に名前が記されている。各社の協賛金額は明らかにされていないが、山崎製パンは数千万円から億単位の金額をサポートしていることが予想できる。

たとえば、不動産事業を中心に多角的な経営をしているスターツは、2000年に陸上部を創設。女子中長距離選手を中心に実業団チームとして活動しているが、山崎製パンには、陸上部を含めて実業団チームは存在しない。「応援に徹する」のが同社のスタンスのようだ。

そして、東京マラソンに協賛したことで、他のマラソン大会からもサポートしてほしい、という依頼が増加。現在、山崎製パンは神戸マラソン、ちばアクアマラソンなど1万人以上が参加する大規模レースをいくつか協賛している。

東京マラソンの「給食」は圧巻の数

山崎製パンが担っているのは協賛金の面だけではない。「給食」も提供している。

3万7000人ものランナーが出場する東京マラソンは、すべてのことが桁違いだ。ランナーがレース中に補充する「給水」「給食」は、スポーツドリンクが約46万2000杯、水が約42万9000杯、バナナが約9万6000本、トマトが約7万個と、スケールの大きな数字が並ぶ(データは前回大会)。山崎製パンはというと、今回、約3万個の一口パンを「給食」として準備するという。22㎞地点にチョコパン、32km地点でアンパンが並ぶ予定だ。

「本来は『ランチパック』のような商品が喜ばれるのは分かっているんですけど、スライスした食パンは空気に触れるとパサパサに乾いてしまいます。反対に焼いたパンは、乾きにくい。ランナーの方に話を聞くと、甘いものがいいと言うので、チョコパンとアンパンを用意させていただいています」

一口パンは同社の人気商品である『薄皮ミニパンシリーズ』(つぶあんぱん、チョコパン、ピーナッツパン、クリームパン)とよく似た形状だが、マラソンの給食用にアレンジが加えられているという。手で取ったときに、中の具が飛び出さないように、「レース時に提供しているものは、生地がしっかりしていて、適量の具が入っているパンになります」と同社。なかなか“ランナー思い”である。

給食用のパンはレース当日の朝、約10個ごとに袋詰めされた状態で工場から配送される。そして、大会主催者により集められたボランティアスタッフの手で、ランナー到着の直前、エイドステーションの上に置くボックスに並べられるという。2時間台で走る人はほとんど食べないが、東京マラソンの制限時間は7時間。特に5~6時間台でフィニッシュするランナーにとっては、アンパンやチョコパンが大きな力になっている。単なるエネルギー源だけでなく、“愛”と“勇気”もチャージされることだろう。まさに“アンパンマン”的な役割を担っている。

今年からゴール後に『ランチパック』が配られるように(実際に配られるのは一番人気のピーナッツ)。

今大会から山崎製パンは、新たなサービスを始める。ゴール地点の東京ビッグサイトには、レストランが少ないこともあり、力を使い果たしたランナーたちのエネルギーを補充すべく、フィニッシュ後に、『ランチパック』が提供されることになったのだ。

種類はいちばん人気の「ピーナッツ」で、配布される商品には、「完走記念」のシールがつく予定。レース後には、ランナーたちの笑顔とともに、“完走パン”がSNSで拡散されそうだが、もしそうなればPR効果は大きい。

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