名門ミズノは、なぜ時代遅れになったのか あまりに大きすぎた過去の成功体験

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そのことは結果的に、海外展開の遅れも招いた。ミズノの海外売上高比率は37%にすぎない。アシックスの76%、デサントの53%と比べても、見劣りするのは歴然だ(下図)。

ある業界関係者は「野球用品のマーケットは米国と日本に限られる。生産地の選択肢が狭く、原価低減を進めにくい」と収益改善の足かせになっていることを指摘する。

カジュアル分野に経営資源を投入

ミズノもここに来てやっと、テコ入れに向けて動きだしている。

2月に街着用のカジュアルシューズブランド「ミズノスポーツスタイル」(写真)を、3月には同「M-line」という新商品を投入した。

競技用品に偏重した従来のマーケティングを転換し、より裾野が広いカジュアル系ブランドとしての訴求を目指す。

ただし、スポーツスタイルの販売拠点は、3月末時点で、直営店を含む約50店に限られる。認知度もまだまだ高いとはいえない。

ミズノの佐野治・総合企画室部長は「事業ポートフォリオを見直す時期に来ている。投資の転換を進める必要がある」と反省する。遅すぎた反転攻勢の効果はどれほどのものなのか。老舗企業は正念場を迎えている。

「週刊東洋経済」2016年4月16日号<11日発売>「核心リポート04」を転載) 

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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