アシックスが描く「米国首位作戦」の現実味 思わぬ誤算があっても米国を最重視

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新投入のスニーカーは好調だったが、急成長を続ける米州で、思わぬ誤算に直面した(撮影:今井康一)

快走を続けていた、スポーツメーカー大手アシックスの業績が、思わぬ石に躓いた。2月12日に発表した2015年12月期連結業績は、売上高4284億円、営業利益274億円だった。

前2014年12月期は国内9カ月、海外12カ月という変則決算だったため、単純比較はできない。国内を12カ月で計算した組み替え後の前年同期間比では、売上高が10.5%増だったものの、営業利益は8.3%減という減益となっている。

稼ぎ頭の米州のセグメント利益が約9割減

欧州は売上高1160億円(組替え後の前年同期間比10.7%増)、セグメント利益は109億円(同26.4%増)と好調を維持した。誤算となったのは米州地域の減速だ。円安の恩恵もあり、売上高1361億円(同14.5%増)と増収を確保したものの、セグメント利益は14.9億円(同86.3%減)と激減した。

ブラジル通貨レアルの下落で商品の仕入れコストが上昇したことが収益を直撃。稼ぎ頭の米国では卸売り先の大手スポーツ用品店が経営不振になっていることや、中南米の債権回収に時間がかかっていることから貸倒引当金を計上したことが原因だ。

アシックスの海外売上高比率は76%に達する。近年は米国や欧州のランニングブームを追い風に、業績を拡大させてきた。特にスポーツシューズの市場規模が大きいアメリカで断トツの存在感を示すことができなければ、ほかのエリアで大手と戦っていくことは難しい。

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