ヒマラヤ、過去最多13店舗を「閉鎖」する事情 スキー人気低下、ファッション性でも出遅れ

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スポーツメーカーだけではない。アパレル陣営も同市場に参入を始めた。ユニクロは今年5月から「UNIQLO SPORTS」を本格的に立ち上げ。リオデジャネイロ五輪のテニス男子シングルスで銅メダルを獲得した、錦織圭選手が着用したウエア上下は各3990円で購入できる。オンラインサイト、実店舗ともに、品切れになった。

ユニクロ担当者は「商品の多くはロゴが入っていないので、普段着でも使える。会社帰りにエアリズム素材のヨガ用ウエアを購入する人も多い」と語る。ほかにも、しまむらやH&Mなどがスポーツ向けの商品群を投入しており、競争は一段と激化。スポーツ業界関係者は「ユニクロが3990円で出しているような商品が、スポーツメーカーだと、倍の値段する」と危機感を募らせる。

となると、スポーツ量販店であるヒマラヤとしては、専門性の強化に活路を見い出すしかない。

軸がブレていた商品戦略

同業他社のアルペンは、ランニングシューズなど、高額商品の接客販売強化を打ち出している。従業員に対する商品教育を強化し、該当売り場には販売員を手厚く配置するなどする対策を取って、シューズの売り上げが伸びた。またゼビオは、少人数でプレーできる競技の人気を受け、バスケットボールやフットサルなどに特化した、売り場作りを進めている。4月には博多マルイに、女性をターゲットにした新コンセプト店を出した。ヨガやフィットネスのウエア、小物などを充実させ、店内でトータルコーディネートができることを目指しているという。

ヒマラヤ傘下のB&Dは、サッカーと陸上の用品を強みとする店舗だ。幅広い需要取り込みのために、水泳用品などの品揃えを拡充してきたが、売り上げ不振を脱し切れなかった。売り上げ上位店は、改めてサッカーと陸上に原点回帰し、専門性で勝負する方針を打ち出している。

この9月末にヒマラヤは、2016年8月期本決算と、2017年8月期の業績予想を発表する。スポーツ用品・ウエアを専門に扱う店舗ならではの施策を早期に打ち出せなければ、客を再び取り戻し、業績を回復軌道に乗せることは難しい。
 

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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