ヴィレッジヴァンガード、大赤字脱却なるか 雑貨チチカカを売却でも見えぬ復活の道筋
「遊べる本屋」をコンセプトに、遊び心満載の書籍やコミック、加工食品、雑貨、アパレル、CD等を、店員手製のポップで演出して陳列している「ヴィレッジヴァンガード」。サブカルファン御用達の小売店チェーンだ。そのヴィレヴァンの運営会社、ヴィレッジヴァンガードコーポレーションが苦境に陥っている。
チチカカを売却
同社は8月1日、エスニック雑貨を販売する子会社のチチカカを、金融情報配信会社フィスコ(ジャスダック上場)の親会社であるネクスグループに売却した。チチカカはこの2年間、ヴィレヴァンの業績の足を引っ張ってきた赤字子会社だ。
これに伴う処理で、ヴィレヴァンは2016年5月期の連結決算で43億円もの最終赤字を計上。結果、数年前まで5割を超えていた自己資本比率は26.3%に低下。2012年12月末時点で140億円近くあった利益剰余金は、2度の最終赤字でほぼ半減、今回の処理で31億円にまで減った。
だが、市場はこの結果に失望したわけではない。2016年5月期の決算を発表した7月14日からさかのぼること半月。6月30日に、ヴィレヴァンはチチカカの売却と、売却に伴う特損発生を折り込んだ2016年5月期の業績予想の下方修正を発表している。
実はこの時、株価はほとんど反応していない。同日終値1674円に対し、翌日の終値は1656円と、わずか1%の下落。最終赤字予想が16億3300万円から43億8800万円へと、さらに27億5400万円悪化する内容だったにもかかわらずだ。
株価が動いたのは決算発表翌日の7月15日。取引開始早々ストップ安を付け、終値では若干持ち直したものの、翌々日の7月20日には安値1156円を付けて年初来安値を更新した。理由は明白で、株主優待の条件悪化を公表したことで、優待目的の個人投資家の失望売りが膨らんだためだろう。
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