筆者はこの夏休み、ヨーロッパを旅してきた。その街角で特に目を引いたのが、カッコいい中高年のご婦人方だ。
白シャツにスキニーデニムを颯爽と着こなし、自転車で駆け抜けていく白髪のパリジェンヌ、ひざ上丈のノースリーブのタイトな真っ赤なワンピースを着こなし、ベルリンの空港を闊歩するバリキャリ風のご麗人。凛として男前でいながら、女性らしい風情で、全身から自信がみなぎっていた。
日本の女性は過剰に「人目」を気にする
翻って、堂々の中高年の筆者は、「この服は年相応ではないのでは」「これはイタイかなあ」などとクローゼットの前で、洋服選びに呻吟(しんぎん)する日々だ。どんな体型でも平然とビキニを着ている海外のおばさまたちに比べたら、日本の女性は圧倒的に「人目を気にして」服装を選んでいる気がする。それは「アノマリー」(異端・例外)を好まない、日本社会の強烈な同調圧力ゆえなのか。軍服のように一様なリクルートスーツに覚える閉塞感と似て、違和感を覚えてしまう。
ここ数回、日本女性がリーダーシップを発揮していくうえでの「壁」について書いてきたが、女性リーダ―は一般的に、厳しく、強すぎて見えてもダメ、弱々しく、女々しく見えてもダメ、という「ダブルバインド」という制約を受けるということを紹介した。低い天井と高い床に挟まれて、窮屈な居住空間でしか、生息が許されていないようなものだ。
特に日本という小さな国で生涯、同じ会社や同じコミュニティに所属し続けるという流動性の低い社会の中で、一人ひとりの可動域が狭いのは、女性に限ったことではないかもしれないが、強烈な横並び文化の中で、日本女性に課せられる制約は小さくはない。
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