そんな同質性を強要する社会において、ある種の「負の指標」のように存在しているのが、「嫌われる人ランキング」といったたぐいのアンケート企画だ。嫌われる芸能人、嫌われる男、嫌われる女……。実に下世話な企画ではあるが、こうした記事を見ていると、日本人としては、どういった言動が許容されないのか、どういった人間像が受け入れられやすいのかが見えてくる。
「嫌われる女」とは?
特に、「嫌われる女」ランキングによれば、おおむね次のようなカテゴリーの女性が生理的嫌悪感を抱かれやすいようだ。
エラそうな女
男の毒舌は、「爽快だ」と受け止められるのに、女性が毒づくと、「高飛車」「高圧的」「いじめ」ととられやすい。有吉弘行や坂上忍やヒロミが他人をディスるのはOKでも、泉ピン子や和田アキ子は大いに反感を買うのである。
野心のある女
野心のある男は許されても、野心のある女は許されない。中尾彬氏が、野田聖子氏について、「(首相への意欲があるという)野心のある女は嫌だね」とテレビでコメントしていたが、一定層の男性の間には「三つ指」への憧憬はまだ根強い。
身分不相応な女
本人より格がずっと上(金持ちであるとか、地位があるとか)とみなされる男性と付き合っていたり、結婚した女性に対する風当たりも強い。どんな形にせよ、高みを狙う女性は「野心的」として、反感を受けやすい。テニスの錦織圭選手の彼女や紗栄子などがこれにあたるのだろう。
まったく隙のない女
すべてにおいて完璧であることを売り物にするような女は共感を受けにくい。少しぐらい、短所や弱みがあるほうが、親しみは持たれやすいが、「完璧」アピールが過ぎる女に対しては、鼻白んでしまう。
しゃしゃり出る女
家事を完璧にこなす糟糠(そうこう)の妻は礼賛されるが、家事をおろそかにして、しゃしゃり出る女はたたかれる。ブログを書き綴る「ママタレ」は日々、栄養の取れた食事をきっちり手作りしていることをアピールするが、出来合いの総菜で済ませたり、碗の位置を間違えただけで、バッシングを受けてしまうような空気感の中で、「働くなら家事もやってから」というプレッシャーを肌身で感じているのだろう。
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