日本の中年男性がハマる「タテ社会の孤独」

共感力を失う人がなぜ続出するのか

「タテ社会」は変化の速い現代ではかえって阻害要因でしかないことに、トップの人間ほど気づきにくい(写真:epicurean / iStock)

女子レスリング、ボクシング、そして、体操……。アマチュアスポーツ界の「パワハラ体質」が次々と露呈している。絶対的権力を持った指導者を頂点にした封建的支配。もともと共感力のない人が、権謀術数でトップに上がるケースもあれば、階段を上るなかで、共感力を失う人もいる。

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日本の組織の長に、パワハラ・強権体質な人が多い背景については、この記事(理不尽すぎる山根会長が組織を牛耳れた根因)で分析したが、いわゆる上意下達の体育会的なタテ組織はもはや百害あって一利なしのようにも見える。

序列偏重の閉塞的な「タテ構造」は、中根千枝氏が名著『タテ社会の人間関係』で看破したように、日本の”お家芸“でもあり、「集団のヒエラルキーによる力関係が優先し、組織の下方に位置するものの意見より、上の者の意見がとられて、議論の余地なくおしきられる」(同書)のが常である。階級や生まれなどにかかわらず、平等に出世のチャンスが与えられる点や秩序や統制のとれた組織運営という点で、高度成長時代には、力を発揮した側面があるが、変化の速い現代においては、創造性や競争力を阻害する要因として、その弊害のほうが目立つようになっている。

グローバル企業のトップさえ時代錯誤に陥っている

7月中旬に大手自動車会社、三菱自動車工業の益子修CEOが、インタビューで、「最近の若い社員のなかには、直属の上司が話にならないと思うと、いきなり飛び越してその上の部長や担当役員にまで直談判しにやってくる人がいます。それでは秩序が乱れてよくありません」という発言をし、炎上した。

係長→課長→部長→局長→役員→社長などいった「連絡網」を「秩序」と呼ぶのかわからないが、現場に裁量権がなく、すべての決定をこうした「伝言ゲーム」と長々しい会議を経て下すという非効率なシステムゆえに、日本の会社の意思決定が異常なほどまでに遅いということは、世界的に知られたところだ。

グローバル企業のトップがこのような時代錯誤な発言をすることにびっくりさせられるが、筆者も、先日、ある超大企業の役員が、「わが社の最近の若い人たちは、友達などとは話せるが、目上の人と話すのが得意ではないという人が多い。だから、人事部に『体育会系の人材を採用しろ』と言っておいた」と話すのを聞いて、複雑な気持ちになった。

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