「発信意欲において並々ならないものをもっていた」
岡本:これまでの政権で、官僚ではなく、プロのスピーチライターがスピーチを書くということはなかったように思います。どういうきっかけで谷口氏が起用されたのでしょうか。
谷口:海外とくにアメリカでは、大統領はじめ政治家のスピーチはプロが書きます。外部からくるプロでない場合でも、専門家と目される人が書く。
安倍首相の場合、国会冒頭の長い演説や、ここぞというときの記者会見の冒頭発言などは、影が形に従うように首相と同伴している秘書官たちが書いています。お役人ですね。お役人ですが、首相との付き合いが長い。5年から6年。「安倍節」を体に叩き込んでいる。「ただの」お役人とは違います。
私の役割は限定的で、外国向け、もしくは外国を意識したもののうち、やや長めのものだけです。「なぜ私が」という問いには、ヒトの縁と偶然のおかげというしかないのですが、安倍首相が発信意欲において並々ならないものをもっていた。そこに尽きます。早い話が、安倍首相の後継者は、きっと旧来のスタイルに戻り、官界で閉じてしまうのではないか。
でも私の役割にしても割り引いて聞いてください。「みんなでよってたかって」作るのが、実際の過程です。そこらは自分の本で詳しく書きました。
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