安倍首相は「目的に対し合理的」な宰相である

「スピーチライター」が語る安倍首相の真実

安倍晋三首相は、歴代の宰相と何が違うのだろうか(写真:REUTERS/Kim Kyung-Hoon)
9月の自民党総裁選で連続3選を目指す安倍晋三首相。数々のスキャンダルをかいくぐり、生き延びてきた理由の1つに、周到なコミュニケーション戦略が挙げられる。日本では、コミュニケーションは表面上のパフォーマンスであり、モノの本質ではないという認識が強いが、世界で劇場型の政治スタイルが主流となる中で、今や、大衆への「伝え方」「見せ方」こそが、政権の趨勢(すうせい)を決めるといっても過言ではない。
そのコミュニケーション戦略の中枢を長年、担ってきたのが安倍首相のスピーチライターで内閣参与の谷口智彦氏だ。今月、新著『安倍晋三の真実』を出版した谷口氏にその「深謀遠慮」の内幕を聞いた。

「発信意欲において並々ならないものをもっていた」

岡本:これまでの政権で、官僚ではなく、プロのスピーチライターがスピーチを書くということはなかったように思います。どういうきっかけで谷口氏が起用されたのでしょうか。

この連載の一覧はこちら

谷口:海外とくにアメリカでは、大統領はじめ政治家のスピーチはプロが書きます。外部からくるプロでない場合でも、専門家と目される人が書く。

安倍首相の場合、国会冒頭の長い演説や、ここぞというときの記者会見の冒頭発言などは、影が形に従うように首相と同伴している秘書官たちが書いています。お役人ですね。お役人ですが、首相との付き合いが長い。5年から6年。「安倍節」を体に叩き込んでいる。「ただの」お役人とは違います。

私の役割は限定的で、外国向け、もしくは外国を意識したもののうち、やや長めのものだけです。「なぜ私が」という問いには、ヒトの縁と偶然のおかげというしかないのですが、安倍首相が発信意欲において並々ならないものをもっていた。そこに尽きます。早い話が、安倍首相の後継者は、きっと旧来のスタイルに戻り、官界で閉じてしまうのではないか。

でも私の役割にしても割り引いて聞いてください。「みんなでよってたかって」作るのが、実際の過程です。そこらは自分の本で詳しく書きました。

次ページスピーチの目的とは
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 井手隊長のラーメン見聞録
  • コロナ後を生き抜く
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 越湖信一のスーパーカー列伝
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
菅新政権が誕生しても<br>「安倍時代」は終わらない

牧原出氏執筆の連載「フォーカス政治」。9月16日に菅新首相が誕生しましたが、施策の基本線は「安倍政権の継承」。惜しまれるように退任し、党内無比の外交経験を持つ安倍前首相は、なお政界に隠然たる影響力を保持しうるとみます。その条件とは。

東洋経済education×ICT