「親という病」はなぜスポーツ界に蔓延するか 常軌を逸した「えこひいき」問題から考える

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ひとつは、その判断が本当にフェアか、利益相反に当たらないかという確認がなされていない。次に、周囲を納得させられることかどうかに配慮されていない。3つめは、それがわが子にとって本当に良いことなのかどうか予測がされていない。病にかかると、それらを正しく見極められなくなるのだ。

「親という病」ということでは、文部科学省前局長が自分の息子を東京医科大学に裏口入学させ受託収賄罪で起訴された事件も記憶に新しい。

しかも、スポーツ界の不幸は、周囲の人々が「子どもかわいさかもしれないけれど、ちょっとやりすぎなのでは?」と考えたとしても、勝利によって帳消しにされることだ。「メダルは評価できるが、パワハラや理不尽な選手選考は許されませんよ」といったまっとうな意見を周囲が発言できなくなる。それが今までのスポーツ界ではなかったか。

親が子どもを成功に導くのは難しい?

「親子鷹」という言葉があるように、親子が手を携えて勝利に挑む姿は傍から見ればほほ笑ましい。しかしながら、実際は親が子どもを指導したり、導くことは、非常に難しいとも言われる。

首都圏で少年サッカーの強豪クラブを率いる40代の男性は、小学生の息子が2人。だが、自分のチームには入れていない。

「あえてほかのクラブに行かせています。親子は血がつながっているので、言わなくてもわかってくれるだろうと、あうんの呼吸を期待してしまう。思い入れが強くなれば子どもにとってもプレッシャーになる」と説明する。

親がほどよく距離をとることでアスリートが大きく育つ事例は多い。

たとえば、先のテニス全米オープンで日本人初の優勝を飾った大坂なおみ(20)も、昨年までツアーに帯同していた父親がサーシャ・バインにコーチとしてのバトンを渡したことが奏功した。大坂はもちろん、プロプレイヤーである姉ら2人のテニスの手ほどきをしてきた父親にとっても、コーチを交代することへの葛藤がなかったわけではないだろう。

もうひとりは女子ゴルフの畑岡奈紗(19)。彼女の父親は陸上競技出身でスポーツにも精通している。しかしながら「自分はゴルフは素人だから」といっさい口出ししないと聞く。

6月のアーカンソー選手権で米ツアー初優勝。19歳162日での達成は日本人最年少で、その後のツアーでも安定した活躍が続く。会見での受け答えなど、随所に自立した颯爽とした姿を見せる。

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