「少子高齢化で社会が破綻」は大いなる誤解だ 就労者1人あたりの負担は必ずしも増えない

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AI(人工知能)などテクノロジーの進歩により、雇用が240万人減るという試算もありますが、私はそうは思いません。むしろAIによる就職マッチングサービスの実現等で、未活用労働力の稼働率を上げるかもしれません。技術革新とともに消滅する仕事がある一方で、絶えず新しい仕事を創出してきたのが人類の歴史だったわけです。さらに、雇用だけが働くということを意味しません。年齢関係なく新たに起業してもいいでしょうし、プレイヤーの立場ではなく投資などでサポートする側にまわることも含まれます。従来の概念では「遊ぶ」領域すら、未来では働くことに変化しているかもしれないのです。

もちろん就業者数だけが増えればよいという話ではありません。バブル崩壊以降就業者数は増えていても、1人当たりの所得は減り続けています。消費力をあげる観点からも、個人所得の拡充が求められることは言うまでもありません。

ソロ社会は人とつながる社会である

人口減少問題に際しては、相変わらず次々噴出する政治家の失言同様「結婚しないのは自分勝手」「子どもを産まないことは悪」という世間の声も絶えません。結婚もせず、子を産み育てない人たちを社会のフリーライダー扱いにして、「家族vsソロ」「子有りvs子無し」が対立する構造こそ不毛です。

人口は減っても働き手は増える社会。支えられる高齢者以上に支える高齢者が増える社会。結婚してもしなくても、子があってもなくても、あなたが働けば、あなただけじゃなく、誰かもう1人を支えられると皆が信じられる社会。自分のために働いたり、消費したりすれば、結果として、誰かのために役立つ循環性のある社会。私が言い続けている「ソロ社会は人とつながる社会である」というのは、そういう社会であってほしいと思います。

荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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