「老親は子が養うべき」という風潮にモノ申す

適度な距離を保たないと家族みんなが苦しむ

子どもや孫とは適度な距離を保ち、お互いに自立するのがいちばんいい(写真:TakakoWatanabe/iStock)
「雇用延長で働く」「資格や勉強に時間とおカネを使う」「過去の人脈を頼って仕事を探す」など、定年後の選択肢はさまざま。しかし、中にはそれが残念な結果に終わる人もいれば、思っていた以上にうまくいく人もいる。その違いはどこにあるか?
82歳の現役ビジネスマンにして、『定年前後の「やってはいけない」 人生 100年時代の生き方、働き方』の著者である郡山史郎氏が「定年後の人生がうまくいく人の生き方」について解説する。

日本には、かつて親が定年を迎えたら子が養うという社会構造があった。日本の公的年金は賦課方式であり、現役世代の保険料が年金給付の財源となっている。子の世代が親の世代を養う構造になっているのだ。

だが、それは本質的に間違っている。中国から輸入された儒教に「孝」、すなわち「子は親を敬い、親は子を心配する」という考え方があり、その影響で日本でも親孝行が奨励されるようになったにすぎない。本来、生き物は親のためには何もしない。親は子どもの面倒をみて、子どもは孫の面倒をみる。そうやって世代交代が続いていく。親は、子の犠牲になるのが自然界の基本原理であって、子が親を養う生き物は人間だけである。

したがって、子どもは親の面倒をみなくていいし、親は子どもに面倒をみられてはいけない。介護などはしてもいけないし、されてもいけない。子どもは親の犠牲になるべきではない。もちろん私も絶対に介護されない人生を送るために、必死で抵抗している。

限界に来ている日本の「介護保険制度」

健康管理も仕事のうち、といわれたことはないだろうか。若くエネルギッシュに働ける間は気にしなくてもいい。だが、体の衰えを感じ始める40代ともなると健康管理が必要だ。私はよく病院に行くが、ほとんどが治療ではなく検査のためである。定期的に検査をして、体をメンテナンスし続ければ、重病になりにくい。すると高齢者であっても要介護者にならずに済む確率が上がる。仕事をすることによって健康を保つのだ。

職場ではなく病院に毎日のように通っている高齢者がいるが、日本の医療費59.3%にあたる25兆1276億円は65歳の高齢者が占めており、これが健康保険の財政状況を圧迫している(厚生労働省「平成27年度 国民医療費の概況」より)。私は、高齢者は医療費を10割負担にしたほうがいいと思っている。そうすれば、できるだけ病院に行かないようにと、一生懸命に健康管理をするだろう。逆に若者は病院に行かないから1割負担として、病院に行かせたほうがいい。

次ページまずは介護されない人生を目指そう
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 不安な時代、不機嫌な人々
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
トレンドライブラリーAD
人気の動画
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
人材戦略から儲けのからくり<br>まで コンサル全解明

人材の争奪戦が過熱し、年収水準もうなぎ登りに。デジタル化を背景にコンサルティング業界は空前の活況を呈しています。本特集ではコンサル業界の動向やビジネスモデルを徹底解説。コンサル会社を賢く選び、上手に活用していくノウハウを紹介します。

東洋経済education×ICT