21歳「発達障害」の彼が芸能界を目指す理由

勉強に集中できず理学療法士への道は諦めた

また、それが終わると今度は10週間の実習が2回あった。今回も事前にASDであることを実習先に伝えた。今度こそ変わろうと意気込んで臨んだ。しかも、この実習先の病院の先生の息子もたまたまASDを抱えていたため障害への理解があり、中村さんにとっては一番学びやすい実習先となった。そして、2回目の10週間の実習のとき、中村さんは実習をリタイアしてしまう。

「2回目の実習の先生は、課題が多くてかなり厳しかったんです。僕が勉強できないせいもあるのですが、先生を怒らせてしまうこともあって……。それで、そこの実習はリタイアしてしまいました。学校側からは『実習地の変更という手もある』と言われました。

僕はもう、やる気がなくなっていたのですが、友達や親から『学校側がチャンスをくれているならとりあえずやってみよう』と言われ、実習地を変更。みんなより2週間遅れて実習から戻ってきました。実習の成績も悪かったです」(中村さん)

薬を飲むと集中でき、試験の結果がアップ

中村さんは理学療法士になる気がなくなってしまっていた。「卒業しても理学療法士にならないのに、今自分はここで何をしているんだろう、学校や実習先にこんなに助けて優しくしてもらったのに、こんな結果になってしまった」と思い悩む日々だった。しかし、実家に帰らず今の地域に住み続けたいという思いと、学校の友達と離れたくないという思いがあり、学校をやめなかった。

悩んでいるうちに、中村さんは抑うつ状態に陥ってしまった。親の勧めもあり昨年12月に精神科を受診。そこで、ASDだけでなくADHDも併発している可能性が高いことが判明した。

「僕は、うまく言葉をまとめて伝えられない部分があります。これは、ADHDの症状の『ポップコーン現象』と言うのですが、頭の中でポップコーンが弾けるように、様々な考えが浮かんでいくんです。これが、テスト中や野球の試合中に出てくるとなかなか集中できません。

たとえば、野球の試合でピッチャーをやっているとき、投げる瞬間、『バッターが友達に似ているなぁ』と気づくと、思考がそればかりになってしまう。試験の際も、実習を思い出さないと解けない問題があるので、実習を思い出そうとすると、そこから実習中に起こった別のことをイメージしてしまい、解くのに時間がかかってしまいます」(中村さん)

中村さんはつい先日、ADHDの薬であるコンサータを処方され、飲み始めたばかりだ。これを飲んで症状が改善されるなら試してみようと少量からの処方となった。ちょうどその日、国家試験に向けた模擬試験を控えていたため飲んでみると、通常は昼間くる眠気がこなかった。また、試験結果も普段は5割程度しか取れないが、国家試験の合格ラインである6割を取れた。

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