2018年も幕を開けました。本連載は一貫して、専門家の立場から、ニッポンの労働環境を取り巻く「ここが変だよ」と感じられる点を紹介していますが、今回は新年にふさわしく、昨年大きな話題となりました「働き方改革」について取り上げたいと思います。
「働き方改革」が名ばかりになっている?
「改革」というと聞こえはいいですが、名ばかりで実際の現場では改革どころか、おかしな事態になっている状況もたくさんあります。
実際にあったダメな働き方改革の例が、自分の会社の状況に当てはまると感じた方がいましたら、ぜひ本当の意味での働き方改革を考えるきっかけにしていただければと思います。
よくあるのが、「労働時間を減らせ!」と号令を掛けるだけで、具体的なやり方は現場・部下に丸投げし、成果目標についてはこれまで同様に求めるという状況です。働き方改革の下、労働時間を減らすという点が各企業の悩みの種になっています。管理職としても、経営層から「労働時間を減らせ。部員のマネジメントができないのは管理職失格だ」とプレッシャーを掛けられているのかもしれません。
このプレッシャーを今度は管理職が現場・部下に対して向けて、ただ単に「労働時間を○時間減らせ」と丸投げする例が見られます。最近ではこうしたことを、時短ハラスメント(ジタハラ)と呼ぶ風潮もあるようです。
本来、管理職が「管理」すべき対象は、単に結果としての営業数字だけではなく、その業務プロセス・労働時間についても含まれるはずです。そのため、チームとして労働時間を減らすためには、そもそも何に時間が掛かっているのか、無駄な労働時間はないか、業務フローの見直しができないか、といったことを検討する必要があります。
それにもかかわらず、部下の労働時間の中身を知ろうとせず、業務のやり方も変えずに、ただ「時間を減らせ」と号令だけを掛ける例が散見されます。これは管理職の仕事を放棄していると言わざるをえません。「こうすれば労働時間を減らせるのではないか」という検討を部下と共に行う管理職でなければならないはずです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら