「時間外労働を減らそう!」「ノー残業デーを増やそう!」――。働き方改革という政府の後押しもあり、多くの企業が、長時間労働の是正にむけて動きはじめている。
その結果、ダラダラとムダに残業する、かつての日本企業の悪しき習慣が改善されつつあるようだ。
そうはいっても、以下のような声が聞こえてくるのも、また事実。
「月間の数字達成に向けて、私たちを含めた先輩社員が必死で仕事をしているのに、就業時間の30分前からデスクを片付けはじめて、定時ぴったりにあがる新人がいる……。このご時世、表立って口にできませんが、やはりイラッとしてしまいますね」(サービス・44歳)、「定時で帰りたくても、忙しそうに残業に突入する先輩の姿があると、やっぱり帰りづらいですね」(商社・26歳)
それでも「お先に失礼」しにくい職場は多い
なぜいまだに「上司や先輩より先に帰りにくい空気」を醸し出す職場が少なくないのか。
「働き方の時流や、マネジメントにおけるモラルが変わってきているのに、まだまだ現場の“感情”が追いついていない。それが現状ではないでしょうか」と、『上司を動かすフォロワーシップ』(ソフトバンククリエイティブ)等の著書を持つ、組織開発コンサルタントの吉田典生さんは言う。
「『残業せずに帰る』ことが正しい、と誰しもわかっている。ただ『そうはいっても、杓子定規じゃ仕事は終わらないんだよ!』と心の奥底で思っている先輩や上司が多い。こうして行き場を失った感情が、なおさら職場の“帰りづらい”空気を後押ししている面もあるかもしれません」(吉田さん)
もちろん、プライベートで大事な用事があるならば、そんな空気をスルーしたまま、お先に失礼する手もあるにはある。だが、できれば、先輩、上司の感情を逆なでせずに、スマートに定時退社を目指したい人も多いだろう。
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