「最初に『お手伝いします』とイエスで提案することで、上司や先輩の気持ちはポジティブになる。そのうえで『ただし、今日ではなくて明日ならば』と、バット(しかし)と、続けて条件を伝えるわけです」(吉田さん)
「今日は定時に帰る」という、目指す着地点は同じでも、いきなり「ムリです」と断るのと、最初に「イエス」と伝えるのとでは、大きくイメージが変わりそうだ。
あるいは“ちょい足し”という意味ではこんな声もあった。
「『予定があって先にあがらせてもらいますが、急ぎの要件があればケータイに出られるところにいるので、連絡ください』とアピールしてから帰る後輩がいる。実際こちらからは電話もかけないし、本当に出られる場所にいるか怪しいのですが(笑)。仕事への責任を感じられるし、なんとなく気持ちがいいですよね」(メーカー・46歳)
帰るときは”堂々と”帰る
もっとも、こうした言葉を添えて帰ると同時に、吉田さんは「最も大切なのは“堂々と”定時に帰ることですよ」と付け加える。
「上司や先輩が仕事しているからといって、いかにも『申し訳なさそうにおどおどしながら帰る』というのは、むしろ逆効果です。繰り返しになりますが、帰りにくい空気は上司や先輩が抱いている感情の問題。しかし、そうしたおどおどした態度は、感情を逆なでする可能性が高い。『後ろめたいならば、残業して手伝えよ』と思われてしまいます」(吉田さん)
そもそも本来やるべきことをしっかりやっているならば、堂々と定時に帰ってしかるべきだ。隠れるように帰らなければならないというのは、つまり「やるべきこと」や「伝えるべき言葉」が足りていないから、ともいえる。定時に堂々と帰れるためにも、上司や先輩との普段のコミュニケーションや、自己管理を怠らないようにしたい。
またバレるようなウソをついて帰ることも、避けたい。
「業務が立て込んで、残業をお願いした女性社員が『近頃、うちの子(飼い犬)の体調が悪くて』と涙ながらに言うので、『それは仕方ないね』と承諾しました。ところが、翌日、別の社員と彼女が話しているところを耳にしたら『昨日、インスタみたよ。ナイトプール行ったんだね』って……。飼い犬の命を使った巧妙な残業拒否に、何も言えませんでした」(IT・40歳)
これはむしろ、SNSの使い方に気をつけたいところか――。
いずれにしても、ちょっとした工夫をするだけで、「帰りにくい職場の空気」をくぐり抜けることはできるはずだ。これを実践し続けて「自己管理ができて、定時で帰るキャラ」を確立してほしい。なんなら、そのまま会社全体の空気を変えていっていただきたい。
もし、これだけやっても周囲が「もう帰るのかよ」「残業しろよ」「がむしゃらに働け」というオーラを出し続けてくるとしたら? そんな会社は、とっとと辞めて、本当の意味で「お先に失礼」したほうが良いかもしれない。
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