仕事時間の見積もりが自分でできるうえ、上の人間が残業時間のマネジメントまでしなくて済む。それは上司や先輩にとって、最高の人材といえるだろう。工夫次第で「お先に失礼する」ことは、あなたの評価があがることもあるわけだ。
心理学的には接触する回数が多いほど、人は相手に好意を寄せるようになるという。逆にいえば、接触回数が少ないと、好意を抱かれにくいわけだ。
上司や部下もそれと同じ。
たとえば繁忙期に上司が残業をお願い。それに対して部下が「外せない用がありまして、今日はお先に帰らせていただいていいですか?」ときても、普段から積極的にコミュニケーションをとっている相手なら、上司も「それならしょうがないよ」「もちろん。明日がんばってくれ」となることが多い。
日頃のコミュニケーションがモノを言う
「しかし、同じセリフでも、日頃から近くの席に座っていてもメールやチャットでしかコミュニケーションしない部下や、同じフロアにいながらも目を見て話さないような後輩だとしたら、どうでしょう? 上司や先輩は『なんだ、主張ばかりして』『自分勝手だな』と、必要以上に思われる可能性も高い。ちょっともったいないですよね」(吉田さん)
また、普段から顔を合わせたコミュニケーションをしていれば、「おや、いつもとは顔色が違うな」という状況を、互いに察知できやすくなる。そうなれば「よほど切羽詰まった状況なのか」というムードも感じ取れるし、「なにか体調が悪そうだな」といった体の異変にも気づいてくれるようになる。
「最近の風潮として『業務以外のコミュニケーションなどムダだ』『顔を合わせるホウレンソウなんて意味がない』という空気があります。生産性を意識することは大事ですが、直接の会話やコミュニケーションをすることで、むしろ業務がスムーズにすすむこともあるわけです」(吉田さん)
自分の仕事が片付いて、進捗状況を伝えたとしても、「それならこっちの仕事を手伝ってくれよ……」と考える上司や先輩もいる。
そんな相手への対策として、「手伝いましょうか?」の一言を付け加える方法もいいだろう。「そんなことしたら、残業せざるを得なくなるのでは?」と思うだろうが、このあとにコツがある。
「何かお手伝いできることありますか?」のあとに、すかさず「すいません。今日はプライベートで外せない用事があるのですが、明日なら午前中いっぱい時間がとれるのでお手伝いできます」と、今日の残業は難しいが、別の日なら……という、代替案を提案するのだ。いわゆる“イエス・バット話法”である。
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