箱根・富士屋ホテルが再ブレイクしたワケ ”クラシックホテル萌え”だけじゃない

✎ 1〜 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
東京だけでも、星の数ほどあるホテル。どれも大差ないと思ったら、大間違い。一歩足を踏み入れれば、そのホテルにしかない、魅惑のストーリーが展開している。
レジャーとしてのホテルを知れば、より日常が楽しくなるはず――。この連載では、注目のホテルを訪ね歩き、知られざるホテルの物語を発掘していく。
富士屋ホテル本館。建築は1891年。国道沿いだが勾配のため、セミの鳴き声がするのに車の音は聞こえない
創業が1878(明治11)年の老舗、日本を代表するクラシックホテルのひとつである、箱根の富士屋ホテル。箱根マラソンの中継でも登場するランドマーク的な存在だ。
ルーツは戦国時代にまでさかのぼり、豊臣秀吉の小田原攻めに端を発する藤屋旅館を買収・改装してできた。まさに箱根の町そのものの歴史とともにある。前を走る国道1号線は私道が後に国有化されたもの。ジョン・レノンとオノ・ヨーコ夫妻、ヘレン・ケラーやチャールズ・チャップリン、三島由紀夫、ダグラス・マッカーサーも宿泊したことがあり、逸話には事欠かない。
1891年竣工の本館をはじめ、外観は当初のままだが、内装やサービス面では時代の変化への対応を怠らず、特にウエディングの挙式件数が年々増加している。最近では当たり前となったホテルブランドのPB商品も多数開発しており、メインダイニングと同じ味のビーフカレーは年間20万個を売るヒット商品だ。
伝統を守ること、そして世の流れから取り残されないこと。両者の絶妙なバランスをとる秘訣は何か。婚礼件数を急拡大させた当時の総支配人である、安藤昭社長に聞いた。

ルーツは豊臣秀吉までさかのぼる!

――たしか、もともとここには、藤屋旅館という別な旅館があったそうですね。

豊臣秀吉が小田原攻めをした1590年に泊まったと言われているのが藤屋旅館です。だからここ宮ノ下では、8月3日に行われた「太閤ひょうたん祭り」とか、太閤にちなんだものが多いです。

温泉が出て首都圏から近いことに創業者が着目して、富士山にも近いという意味で「富士屋ホテル」としたのです。当時は箱根湯本からここまで、本当に道という道はなかったのですが、できるだけ富士山に近い立地を選んでいますね。

もともと箱根の温泉は七湯で7つあるのですが、そのうち、木賀と底倉と宮ノ下の3つがここにあった。だからここは箱根の中心地だったのです。箱根湯本は後からです。

次ページチャップリンが宿泊した部屋も!
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事