五輪決定で過熱する、”東京ホテル戦争” マリオット、アンダーズなど外資が虎視眈々と拡大を狙う

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外資ホテルが東京での開業を加速している。

米ホテル首位でザ・リッツ・カールトンなど18のブランドを展開するマリオット・インターナショナルは、国内最大手のプリンスホテルと提携した。プリンスは港区にあるザ・プリンス さくらタワー東京の客室、エントランス、ロビー、レストラン、宴会場を約9億4000万円かけて7月から改装。9月14日のリニューアルオープンに合わせて、マリオットが手掛けるブランドの一つであるオートグラフ・コレクションに日本のホテルとして初めて加盟する。

両社が狙うのは、訪日外国人(インバウンド)の受け入れ拡大だ。政府は2016年までに年間訪日外国人旅行者数1800万人(12年は約837万人)を目指している。

マリオットは全世界に約3700万の顧客会員を抱えており、航空券のマイレージのように、同グループのホテルに宿泊することでポイントが貯まり、割引などの特典が得られる仕組みを取っている。マリオットはさくらタワー東京をメンバーに加えることで、東京での会員の受け皿がさらに広がる。

一方、プリンスは国際会議や展示会などをホテルに誘致することによって訪日外国人の獲得を図る戦略を強化しており、大きな顧客基盤を持つマリオットとの提携は渡りに船だった。さくらタワー東京では今年度25%を見込む外国人客比率を来年度には50%まで引き上げる計画を立てている。

今回加盟するオートグラフは、世界の約50の独立ホテルで構成され、加盟する個々のホテルはブランドを変えずに運営している。プリンスも自社のブランドを維持したまま、セールスやマーケティングでマリオットと連携できるのだ。

マリオットは不動産大手の森トラストとも提携しており、今年12月には品川地区に東京マリオットホテルを開業する。来年にはコートヤード・バイ・マリオットを東京・京橋のほか、新大阪でも開業する予定で、訪日外国人を一気に取り込む腹積もりだ。

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