東京だけでも、星の数ほどあるホテル。どれも大差ないと思ったら、大間違い。一歩足を踏み入れれば、そのホテルにしかない、魅惑のストーリーが展開している。
レジャーとしてのホテルを知れば、より日常が楽しくなるはず――。この連載では、注目のホテルの総支配人を訪ね歩き、知られざるホテルの物語を発掘していく。
長野県軽井沢。国内外から多くの行楽客が訪れる避暑地のメッカだが、旅館再生から高級旅館の東京・海外進出へと躍進を続ける星野リゾート創業の地でもある。
星野リゾートは温泉旅館「界」、リゾートホテル「リゾナーレ」、さらに高級旅館もしくはラグジュアリーホテルの一形態といってもさしつかえない和のリゾート「星のや」など、国内約30カ所の宿泊施設を展開している。今回訪れた「星のや 軽井沢」は、星のや1号店として、先代からの老舗ホテル「星野温泉ホテル」を一新したもの。星のやブランド全体のエッセンスとともに、星野リゾートの経営思想が随所にうかがえる施設・サービスとなっている。
星のやは軽井沢の後、京都、竹富島(沖縄)に作られ、2014年にはバリ、15年に富士、そして16年には東京(大手町)の開業が計画されている。騒々しい都会の生活から隔絶された、ゆったりとした時間の流れが感じられる星のや軽井沢の真髄を探るべく、菊池昌枝総支配人を訪ねた。
失われた「もうひとつの日本」?
――施設を拝見させていただきましたが、リゾートだけあって時間の流れが違いますね。軽井沢の宿はみなそうかもしれまんが、ここは特に「下界との隔絶感」が際立って感じられます。
すべての星のやがそうですが、非日常感を大切にしています。ここでは東京や首都圏のお客様が多いので、「東京の現代を休む」という考え方なのです。今を休んで、ここで過ごしていただくことがコンセプトです。
軽井沢は星のやでも最初にできた施設で、星野リゾート発祥の地でもあります。それだけ思い入れも強くて、「もうひとつの日本」が設計のテーマです。
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