リピート率トップ!星のや軽井沢の「非日常」 星野リゾート創業の地で見た、旅館イノベーション

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明治維新で日本は西洋化することで、江戸時代まで培ってきた日本独自の文化を捨ててしまったような形になりましたが、「もしそれを捨てずに、鎖国がある程度進んでいて、ちょっとずつ自分の好きなものだけを海外から取り入れて日本文化が続いていたら、今はどうなっていただろうね」というテーマで作ったのが、星のや軽井沢です。

ここはちょうど山と山の間にございます谷なので、私たちは「谷の集落」と呼んでいます。ちなみに京都は「水辺の私邸」で、竹富島が「離島の集落」です。各地の星のや全体を通して「現代を休む」形になっています。

客室からは谷あいの眺望が美しい

――だからマイカーはここまで入れないのですね。

入り口のレセプションのところで、日常で乗っていらっしゃるお車は捨ててきてもらうコンセプト。それから私どもの専用車に乗って中に入ってくるという、日常から非日常への切り替えを大切にしているのです。もうここに入ったからには、時間の流れが違うような滞在をしていただきたくて。

ご覧いただければわかります。テレビなど日常的なものを置かない。新聞も部屋置きしません。今、流れている音楽ぐらいですね。ラジオも聴けません。

――ラジカセは置いてありましたけどね。

置いてあっても電波はほとんど入りません。CD用に置いてあるだけです。ライブラリーラウンジに行けば新聞はお読みになれますが、テレビは施設内の「村民食堂」まで行かないと見られない。徹底的に日常に戻さない時間を楽しんでいただくのが星のやです。随所随所に日常から非日常への切り替えの仕方とか、その設備やしつらえとかによって、お客様が「時間の流れが違うね」と感じていただければいいかなと思っております。

海外リゾートを知ってしまった日本人

――和室ではあってもベッドだったり、低めのソファが置いてあったりと、外国人客を意識しているような作りも感じますが、外国人客は意外に多くないそうですね

インバウンド(海外からの訪日客)は10%くらいで、圧倒的に日本人のゲストが多いです。畳に座るのではなく、ベッドやいす、テーブルにしているのは別の理由です。日本人も生活様式がそうとう変わってきて、今では畳に座椅子を置くほうが窮屈な生活になってしまっているのです。

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