
(イラスト:奈良裕己)
10人に1人が相続税の課税対象になる大相続時代。「わが家に金目のものはない」と油断していると、とんでもない相続税が発生することがある。本特集を使って事前に戦略を立てていれば、「そのとき」に慌てずに済む。
都内に住む正木恵子さん(仮名・40代会社員)の父親は、500坪に上る土地と家屋、敷地内に建てた5棟のアパートを残して2年前に他界した。母親と正木さん、姉、弟の4人が相続人となったが、問題が起きた。
「母は古風な考えの持ち主でもともと折り合いが悪かった。法定相続の知識すらなく、土地や建物はすべて長男が継ぐべきだと主張。それに対して私が異議を唱え、もめにもめたんです」(正木さん)
決着がつかない中、相続税の納付期限が迫ってきたこともあり、相続人の最低限の取り分である遺留分を除き、いったん全遺産を母親が相続することで落ち着いた。
だがその後、敷地内のアパートで暮らしていた正木さんに対し、アパートの建て替えを理由に母親が立ち退きを求めてきた。
憤慨した正木さんは、改めて法定相続分でアパートや土地を分割するよう母親に求め、弁護士を交えた協議を続けているという。
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