結婚しても子どもをもたない夫婦、いわゆる「おふたりさま」が増えている。
共働きが多く経済的に豊か、仲よし夫婦が多いなどのメリットはあるものの、一方で「老後に頼れる子どもがいない」という不安や心配がある。
そんな「おふたりさまの老後」の盲点を明らかにし、不安や心配ごとをクリアしようと上梓されたのが『「おふたりさまの老後」は準備が10割』だ。
著者は「相続と供養に精通する終活の専門家」として多くの人の終活サポートを経験してきた松尾拓也氏。北海道で墓石店を営むかたわら、行政書士、ファイナンシャル・プランナー、家族信託専門士、相続診断士など、さまざまな資格をもつ。
その松尾氏が、「5000万円の老後資金」を棒に振った思わぬケースについて解説する。
夫の死後「夫の弟」に連絡する必要が出てきて……
ある80代のご夫婦のお話です。
このご夫婦はお子さんのいない「おふたりさま夫婦」でした。
あるときご主人が亡くなり、紹介者を通じて私のところに相続手続きのご相談がありました。
お話を伺ったところ、財産はご主人名義のご自宅と預貯金が、およそ5000万円。
そして、ご主人には数十年行き来のない弟さんがいるとのことでした。
弟さんと疎遠になっている理由は、以前弟さんが作った借金の肩代わりをさせられたり、勝手に保証人にされたり、お金の無心をされたり、さらにはご実家の相続手続きでもめたりと、散々な目にあったのだそうです。
その結果、交流のない状態が続いているとのことでした。
しかし、以前の記事(「おふたりさま夫婦」だから起る「"相続"の大問題」)で紹介したように、子どものいないご夫婦の場合は、妻だけでなく、亡くなった人の親やきょうだいも相続人になります。
相続手続きを始めるには、「正規の相続人」である弟さんと連絡をとる必要があると、奥様にお伝えしたのですが……。
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